神奈川のがれき受け入れ阻止、成功!

 神奈川県のがれき受け入れが、最終的に止まりました。
 処分場のある横須賀市、芦名地区を含む、大楠連合町内会が「意向調査」の結果、反対多数ということで受け入れ拒否を決めた、ということです。でも、実際に止めたのは、住民たち。
震災漁網受け入れ:地元町内会が「ノー」、賛否拮抗も根強い県への不信/横須賀
 
カナロコ 12月23日(日)4時30分配信
 黒岩祐治知事が震災がれきの受け入れを表明してから1年。「焼却灰」から「漁網」へと廃棄物が変わっても、受け入れ先とされた県最終処分場(横須賀市)の地元住人が出した答えは「ノー」だった。賛否の数は小差。地元住民には独自の被災地支援を探る動きもある一方、県の提案には首を縦に振れなかった。背景には、県の廃棄物行政に対する根強い不信感がある。 「(賛否が)拮抗している。苦しみがあった」。22日午後、意向調査結果を受けて会見した長谷川俊夫・大楠連合町内会長が、住民の気持ちを代弁した。意向調査で賛否を決めることを連合町内会が決めたのは,「この計画をめぐって地域にいさかいが生じ、住民が疑心暗鬼になる」(長谷川会長)ことへの懸念があったからだった。住民の賛否を一括集計したのもそうした配慮からだが、住民の一人は「処分場に近い地域では反対意見が多かった」。処分場建設時に地元が混乱した歴史があるのに、調整が不十分なまま震災がれきの受け入れ構想を表明した知事への不信感が、いまだにくすぶっているという。
  県の担当者にも22日、連合町内会から電話で調査結果と「反対」の意思が伝えられた。
 担当者はため息をつく。「洋野町と野田村には近く結果を伝える。結果はまったく想定していなかった。横須賀市長も賛成してくれていただけに残念だ」
 当初は「地元の意向に寄り添う」として自身の賛否を明確にしてこなかった吉田雄人市長も、11月に被災地を視察した上で「受け入れをお願いしたい」と、態度を明示していた。市長は連合町内会幹部にも「一任してほしい」と打診したが「意向調査を実施して決める」と固辞された経緯がある。「批判に耐えてきたが、重荷だった。できれば解放してほしい」。長谷川会長は本音を漏らした。意向調査の結果、地元住民は漁網受け入れに反対の意思を示すことになった。しかし、処分場周辺の地元からは独自に被災地支援を探る動きも出ている。被災者と相互に訪問し合いながら支援を進めるというその構想は、地域の若手が年明けにも固める予定だ。

 記事にはまったく書いてありませんが、現地にはいわゆる「公害防止協定」があり、県外の、放射能汚染廃棄物を持ち込むことはそもそも協定違反。ところが、「連町」は、任意団体であるにもかかわらず、勝手に住民を「代弁」して、受け入れを前提に県市と交渉を重ねてきたのです。今回の調査の開票も非公開でおこなわれ、「小差」の中身も不明。
 でも、現地の歴史を知っている人は、これが「小差」であるはずがない、とわかったはず・・・ 結局、県の違法がれき持込を止めたのは、住民たち。そして、公害防止協定でした。
 でも、芦名は、これで終わりではないから。同じ「連町役員」らが勝手にOKした「横須賀市新ごみ焼却炉」建設も止めないとね。環境的には、こちらの方がはるかに深刻です。2012.12.23

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/