知事があれほどがれき受け入れに毅然と反対していた新潟県だったけど、気がつけば、なぜかがれき受け入れを容認、そして三条市と柏崎市では10月半ばまでに試験焼却も終えていました・・・いったい何があったのやら。
震災がれきの試験焼却、新潟県が容認 5市と合意
新潟県と新潟、長岡、三条、柏崎、新発田の5市の担当者が同日、新潟市役所に集まり協議した。試験焼却に際しての放射能の検査体制、焼却灰の管理のあり方について合意した。岩手県大槌町での現地検査では、がれき中の放射性セシウム濃度のほかにプルトニウムなどについても調べる。市で対応できない部分は県が技術協力する。焼却後の灰の管理については、「各市において、他(の灰)と区別して適切に管理する」との表現にとどまった。
新潟市環境部の熊倉淳一部長は「一歩なのか半歩なのか分からないが、少しは(受け入れへ向けて)進ませていただいた」との認識を示した。今後についてはまず、三条市と柏崎市が試験焼却へ向けてがれきの受け入れ準備を進める。ただ、試験焼却の結果、どういう基準で本格的な受け入れを認めるかなどについては県と5市は合意していない。 泉田裕彦知事は「がれきは原子力発電所内部と同様の管理をすべきだ」との立場を取っている。県内焼却を不安視する住民もいるため、順調に進むかは不透明だ。http://www.nikkei.com/article/DGXNZO44228990X20C12A7L21000/
ところがこの試験焼却に対する県と市の反応はまったく違います。
本日、三条市と柏崎市から、震災がれきの試験焼却結果が公表されました。
焼却灰(飛灰)の放射性セシウム濃度は21から49ベクレル/kgとのことでしたが、放射能については、震災前よりも管理基準を緩和すべきでなく、従前に準じて人間社会から隔絶するよう最大限の努力を行うべきと考えております。 IAEAの基本原則に従えば、混焼による希釈処理は可能な限り避けるべきであり、放射能を含むがれきは、できるだけ単独で焼却を行い、それによる焼却灰を隔離するべきであります。混焼により濃度が下がったとしても、両市合わせて17万から24万ベクレルほどの放射性物質が持ちこまれました。新潟水俣病は、濃度規制しか行わなかったため、総量としての有機水銀が環境中に拡散され引き起こされた悲劇です。このような、歴史に学ぶ対応が必要と考えています。県としては、試験焼却による周辺環境への影響を確認するため、引き続き放射線監視をしっかりと行ってまいりたいと考えています。
本件についてのお問い合わせ先
放射能対策課長 渋谷 (直通)025-282-1693 (内線)6460
廃棄物対策課長 安中 (直通)025-280-5163 (内線)2500
www.pref.niigata.lg.jp/housyanoutaisaku/1350252149081.html
がれき焼却を阻止できなかった、という悔しさをにじませたコメントではありませんか。しかも、彼は放射性物質を多量に含む汚泥処理にも難色を示しています。これに対して新潟市長はがれきが欲しくてしょうがない。がれきにはよほどおいしい何かがあるんでしょうね。
がれき試験焼却、新潟市長「データ示し理解求める」/新潟
毎日新聞 10月19日(金)10時27分配信
東日本大震災で発生した岩手県大槌町のがれき受け入れで、来月中旬にも震災がれきを搬入し試験焼却すると発表した新潟市の篠田昭市長は18日、定例記者会見で「焼却灰の放射性セシウム濃度が100ベクレル以下との基準を達成できるめどが立った。焼却データを市民に提示し、本格処理に向けて進めたい」と改めて理解を求めた。篠田市長は、試験焼却後の本焼却について「決して突き進んでいくわけではない。我々が予期しないデータが出た場合には立ち止まって判断したい」と強調した。また、がれきの運搬方法について「基本的には2市(柏崎市と三条市)の方法を踏襲したい」と言及。試験焼却のデータ測定については、住民に立ち会ってもらうなどした上で「2市の方法を参考にしながらも、(2市よりも)多少広いエリアで測定することが必要」と述べた。一方、放射性物質を含む上下水道汚泥の県内処理に泉田裕彦知事が難色を示したため、処理が棚上げになっている問題について「いつまでも仮置きしていくわけにはいかない。東京電力に引き取ってもらうなら、どういう形で交渉するのかなど(大震災から2年となる)来年3月11日までには結論を出してほしい」と県に注文を付けた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121019-00000002-mailo-l15
試験焼却を強行した三条市も柏崎市も「何も心配いらない」って言うけど、以前は1ベクレルでも違反だったのです。ところが、それに言及しているのは知事だけで、市民を守る立場にある市町村は、すべての反対に耳をふさいでいるのです。
三条市がれきも飛灰に問題なし 放射性物質測定/新潟
毎日新聞 2012年10月16日 地方版
三条市は15日、東日本大震災により発生した岩手県大槌町のがれきを試験焼却した際に出た焼却灰の放射性物質を分析した結果を発表し、いずれも問題ないとした。焼却で発生した飛灰を舞い散らないように固形化した固化灰の放射性セシウム濃度は1キロあたり24.4ベクレルで、市の受け入れ基準である同100ベクレルを大きく下回った。市は11月をめどに最終処分場がある地元住民らに試験焼却結果について説明会を開く。その後、固化灰をさらにコンクリートで固めて最終処分場に埋め立てる計画。試験焼却は13日に終了。同市は14日、焼却を行った市清掃センター周辺の空間放射線量を測定した。結果は1時間あたり0.04〜0.07マイクロシーベルト(マイクロは100万分の1)で、通常時と変化は見られなかった。同時期に試験焼却を行った柏崎市でも、問題のない分析結果が出ている。http://mainichi.jp/area/niigata/news/20121016ddlk15040063000c.html
上の記事の書きぶりもひどい…実際は、受け入れたがれきの分、放射性物質が増えることは誰も否定できません。また、↓の記事にある通り、隔離(特別管理)しなければならない焼却灰は、がれきの量より増えるんだから、処分場がない地域でがれきを受け入れるなんて、狂ってます。
柏崎市、震災がれき試験焼却灰14トン埋め立て 防水シートで覆い/新潟 毎日新聞 2012年10月17日 地方版
柏崎市は16日、岩手県大槌町の震災がれき10トンを一般ごみと混ぜて試験焼却した灰約14トンを同市東長鳥の一般廃棄物処分場「エコグリーン柏崎夏渡」に埋めた。必要が生じれば掘り出せるよう、灰は樹脂製の袋に入れ、防水シートで覆って土をかけた。埋められたのは、細かな粒子状の灰を飛び散りにくいようセメントで固めた「固化灰」が12袋(計11.9トン)と、焼却炉内で燃え残ったガラスや金属などの「主灰」が4袋(計2.4トン)。放射性セシウム濃度は固化灰が1キロあたり33.4ベクレル、主灰は同5.7ベクレルだった。(後略)http://mainichi.jp/area/niigata/news/20121017ddlk15040009000c.html
とにかく、新潟県と受け入れ5市の違いはいったいどこから来るのやら。ご存知の方、教えて下さい。2012.10.24
新潟、なぜがれき容認に?
震災がれきの試験焼却実施に関する知事コメント
2012年10月15日この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/