3月19日の知事インタビュー

 ユーチューブに3月19日の黒岩神奈川県知事の記者会見がアップされてるよ、との連絡をいただきました。「広域がれき処理の根拠法」についてしゃべっているそうで、早速見ました。
http://www.youtube.com/watch?v=ulR8vJQnAzQ&feature=youtu.be
 「昨日、細野環境大臣から県の要請に対する回答をもらった。処理規定の整備、濃度基準の設定は、環境大臣告示で知らせるということだったが、国が責任を明確にしたことは評価している」
 「対話集会などでのご意見には耳を傾けるべきものがいくつもあって、中でも非常に印象に残ったのは、受け入れる際の法的根拠はどこにあるんだ、ということだった。この点は確かに、法的根拠はしっかりしていないと言わざるを得ないので、ここのところを法的なメッセージということで何とか出して欲しいと国にもっていった。こういうことをくりかえして、信頼醸成というものをはかってゆきたい」
 「法的なメッセージ」なんて言葉に彼の無知が反映されているけれど、それでも黒岩氏は、秋田県や静岡県知事に比べればまだましです。少なくとも、「根拠法の質問は印象に残った」そうだから。でも、法律制定を求める先は、政府ではなく国会だよ。
 「産廃処分場に災害がれき(筆者注:一般廃棄物)を入れる時の法的根拠がどこにあるんだ、と言われたときのつらさがありましたが、新たな事態がおきたんだ、ということで国の責任においてメッセージをだしてくれるよう期待している」
 
 これだから、「ムチ」と言いたくなる。「産廃処分場にがれきを入れる」のが問題なのではなく、広域がれき処理を是とする法律が存在しないことが問題なのです。根拠法については、ネットなどでいろんな人が勝手な解釈をふりまいていますが、その筋のプロである環境省職員自ら「ありません」って言ってるのに、素人が知ったかぶりをするんじゃない!
 「地元に対しては、仕切りなおして新たなご理解をしていただきたい。

 ほら、ね。芦名の役員会の「撤回要請」は、あくまでも「次の交渉」をにらんだものだったのです。現在の役員会とその代理人は、平気で地域を売るヤカラ。ほうっておいてはいけません。

 
 会見ではまた、埼玉県は三菱マテリアルや太平洋セメントなどと民間協力で実行しようとしているが、との質問に、知事は「あらゆることを想定しています。民間企業も入っています」と答えています。民間による処理も違法なのですが、知事はそれもご存じない。がれき広域処理は、産業界主導の経済政策に過ぎず、利益の前には「汚染」など吹っ飛んでいまいます。推進派にも、家族があり、子どもがいるはずで、汚染は誰にでも公平にふりかかるのですが、目先のカネに目がくらんだ連中は、その道理がわからない。あるのは政治的解決のみ。2012.3.20

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/