議会傍聴で「退場」は、市民の勲章

 前記事の続き。11月6日の全協を傍聴していた市民が、自分のFBでその内容を報告しているという連絡をいただきました。読むととても面白いのでそのまま本ブログに転載します。出典はここ↓マーカー山本。

 山ノ内氏 午前の報告https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1659559047434850&id=100001423119244

 山ノ内氏 午後の報告 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1659660664091355&id=100001423119244

 

11/6「淀江産廃、実地状況の報告に関する米子市全員協議会」Ⅰー

9/29漁協関係者による議場への通路封鎖によって流会となった本議会、市側の通路規制と傍聴者への座席指定というものものしい雰囲気の中、審議が始まる。

 冒頭事業センターの事務局長が周知の実地状況の説明を始め、反対意見はないと話し出すと、ほぼ全席埋まった傍聴席から「ウソを云うな!」と激しい野次が飛び交い、それに対して尾沢議長が退席してもらうと注意を促すも、「内容が間違っている」と怒りの声は止まない。議員の質疑の先頭に地元淀江選出の土光ひとし議員が、2/7の説明会に来た参加者を巡って、関係住民かどうか確認しているかどうかセンターに問い質すが、確認していないと。この時のやり取りで市長が当の農業者が虚偽の答弁をしているかも知れないと答えたことに、傍聴席から悲嘆と大きな野次が飛び、議長によって「水を守る会」のWさんとY代表が相次いで退場宣告を受ける。
 その後も土光議員による関係住民の数を把握しているかの問いにも答えられず、周知の方法のまずさ、個別に郵送することも出来た。そのやり方の杜撰さが明らかにされていく。そして今だ周知不十分のまま進めていくことを、米子市は認めるのか、センターの見解を受け入れるのかと市長に問うと、副市長が出てきて茶を濁す。ここで「議員の質問に答えろ!」と発言した男性が退場宣告を受ける。なおも市長にと詰め寄ると「正式な手続きをしているので認める」と。
土光議員「市長の答弁に愕然とした、内容を吟味して市民の側に立って欲しい!」と、傍聴席から拍手がわく。これに対して議長が「静粛に」と注意ー。
なおも土光議員の質問がつづき、自治会の賛成意見の内容を問うと、センター、米子市とも答えに窮している。
土光議員は自ら音声データを聞いたといい、やり取りはあったが、賛成が多かったと書くのは不適切だと。―拍手!
センター理事長「捏造はない」と。
土光議員「(下泉自治会)過半数が反対署名出している」
副市長「答えるのは適当でない」と答えるや、「エー!」という皆の驚きの声。
この時傍聴席前列の淀江漁協のF委員長が立ち上がり「市民の声を聞けー」と叫ぶ。そして「市長は嘘ばかり言って」と吐き捨てる。退場宣告を受けて議場を後にする彼を皆の拍手が見送った。ここで議長が午後も続けるかどうか、口にすると「ヤレー」という声が上がり、昼休憩をはさんで続けることに。

 いやはや。事業センターの「反対意見はない」はないでしょう。この一言は、事業者の信用性がゼロどころかマイナスであることを物語るもので、とくに「汚染事業」などはまかせられないということが改めて実感できます。そして、センターが答に窮し、ごまかしていることが明らかにもかかわらず、市長はその「ウソ」を「正式な手続き」として認めるという茶番劇。

 ここで問題になるのが議長です。虚偽答弁や、答弁拒否を諌め、修正することこそ彼の役目なのに、それをやろうとしないから、市民が怒って声を出す。すると議長はその市民を追い出して、「ウソばかり言う」市長を守ろうとする・・・伊木氏はなんのために市長になったのでしょう。

 

11/6「淀江産廃、実地状況の報告に関する米子市全員協議会」Ⅱー

午後も土光議員の質問が続く。米子市の特別功労者でもある元鳥大の地質学吉谷教授がその危険性を指摘する地下水の福井水源地への汚染の問題について、センター、市の見解を問うと、市はそういう意見があったことを県に伝えると答弁。
土光議員「これをクリアーしないと立地条件を満たさず、環境アセスに触れぬまま条例手続きが進められる」と述べると、拍手が!これに対して議長が「拍手した人、退場して下さい」と告げると、土光議員「拍手、聞えなかった」と返す一幕も。そして6月議会で市長が反対する自治会がひとつでもあれば進めないと発言したことに対し下泉自治会の反対署名のことを問うと、合意非合意は知事の判断と分けの分からぬ答えが。一部の反対というレベルではない、キチンと声を届けてくれと強弁すると、拍手!「署名は知事に伝える」と市長。

次に同じ淀江選出の国頭 靖議員の質疑ー
 淀江漁協へのこれまでの対応、規制物質がゼロでないとダメだという漁協の云い分と平行線を辿った経緯を説明し、色んな住民の意見を聞いてクリアーしていく姿勢が大事だと。そして反対住民への回答がまだまだ不十分で、説得できる資料を提出して慎重の上に慎重にやって欲しいと要望する。

 岡村えいじ議員の質疑ー
関係住民への聞き取りのやり方と、住民の意見が反映されているのかと疑問を呈し、佐蛇川右岸自治会への説明も必要と。地下水への影響について岡大の西垣教授が考慮すべきと指摘し、9月の県議会において知事が水質の問題を改めて検証すべきと答弁したことを伝える。さらに反対者が少ないとの記述は実態とかけ離れていて、住民の理解を得られている状態ではない。地域振興費を巡っての分断もあると指摘。

 安達 卓是(たかし)議員の質疑ー
回答書最後に加えられた「地元関係者に丁寧に対応する」とは、の質問に

生田生活環境部長「質問があれば、県に答えてもらいたい」と。
安達「この回答書はまだ案であるなら、いつ提出するのか?」
生田生活環境部長「この協議会終了後に回答する」と。
安達「丁寧ということと矛盾する」
そして「条例手続きのスケジュールは?」と聞くと、
事務局長「県が合意されたかどうか判断する、現状平行線のままだと調整の場を設ける」と答弁。

 最後に遠藤通議員ー
 地下水調査について知事がもう一度専門家を交えた検証がなされるべきと云っていることに対して。
 瀧川理事長「手続き上の調整の場で議論する」「H8年の開発協定は、事業主体が替わった時に改めて、事業センター、米子市とやり直すのが大事だと」ー(拍手!)
 遠藤議員「説明会の参加者は30%とみている、大方の理解を得ているという文章は違う。もっと丁寧な説明が必要、計画書の理解は至難だ」と。
瀧山理事長「センターとして周知を努め、それを県が条例上判断する」と。
遠藤議員「自治会との書面上の同意も必要だ」とも。
伊沢副市長「地元同意を前提として事業を進めることが筋」と。

3時を回る、ここで再度土光議員が質疑ー 放射性廃棄物の搬入について、その定義を尋ねると、「法令に基づいて持ち込まれる」と。しかしその基準値に関しては検討中、未定であると。
そしてその検査方法も遮蔽されてしまう危険があると指摘。

ここで伊澤副市長が唐突に「今日の意見は回答書に添えて提出する」と伝える。すると土光議員がすかさず「この案は替えないのか?」と問いただすが、議長が「この全員協議会を持って回答書とする」と一方的に閉会を宣言する。
皆の嘆息がもれるー(出来レースの閉幕)
 

 う~まさに、出来レースでしたね。つまり、この全協を開くと手続きが先に進むことがわかっていたからこそ、9月には漁協が全協開催を阻止し、今回も市民側は全協阻止を求め、議長に直訴までしているのです。だって、議会が関与したければ、数週間後に始まる12月議会でいくらでもじっくり審議できたのだから。それなのに条例にはない「任意の全協」で手続きを進めるというのは根拠法を欠く違法。議長は市長の言うなり・・・その結果、行政の描いていた通りの筋書きになってしまったわけ。

 なお、議員の指摘でまともなことがひとつあります。遠藤議員の「(事業を進めるなら)自治会の書面での同意が必要だ」というもの。今の一般廃棄物処分場でも、全自治会の書面同意を得ているし、予定地は他用途使用禁止を盛り込んだ「開発協定」もあるので、書面同意は絶対に必要です。。

 それにしても、退場させられた人々の何人かは知っていますが、いずれも、普通は穏やかで怒声など決して出せないし、揉め事を避けようとする人々。その人々が退場を恐れず声をあげ、怒りを示したことに私はとても慰められています。市民運動は「怒り」から始まり、その「怒り」を表現することから、社会が変わってゆくのだから。2017.11.9

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/