説明会後の記者会見


1月15日夜「焼却灰受け入れ説明会」の後、場所を環境整備センターに移して記者会見が行われ、私はフリーとして参加しました。知事を中心に報道陣が20人ほど、それを囲む県職員が30名ほどでしょうか。会見は幹事社NHKの質問から始まりました。以下はその現場メモから。強調筆者、メディア名省略。



 Q
:今日の感想は?


A:全員反対というところですね。でも乗り越えて行く。そのプロセスのスタートだということです。想像以上に苦しいが、誠意を尽くして説得を続ければ、OKだと思う


Q:強硬な意見もあったが、ていねいに説明を尽くそうということですか?


Aそうだ。東北の、現場のビデオを見せれば「なるほど」という答も出るかと思ったが、「無条件反対」とは…しかし、どういうことに不安があるのか、ということも分かった。知恵を絞れば何とかなる


Q:住民の情報収集はできたということですか?


A:そうですね。この反対の嵐を乗り越えるのは、単に「お願いします」ではできない。具体的にどんな知恵を出せばいいのかわからないが、東北を支援したいという思いは共有できている。


Q;協定書はどうするつもりですか?


A;本来は事務局レベルで詰めた方が良かったかもしれないが、スピードが必要だと思って(自分が直接出てきた)。何を持って理解を得るとするのか、協定書には県内の廃棄物のみとあるので、新たな合意、新たな知恵が必要だ。


Q:対話の広場以外に町内会との話合いはしないんですか?


A:広場だけでなく、事務局レベルで説明して回りたい。


Q:芦名に来たのは初めてですか?


A:スピードが必要だが、強引に乗り越えるしかない。今後、2回の対話で合意までゆきたい。


Q:神奈川県のガレキ受入の方針はゆるぎないということですね?


A全面的にすすめてゆく


Q:他の手段は考えていないんですか?


A:他にどんな手段があるというのか…いろんなところと協力が必要だ。都が突破口を開いてくれたので、都に続いてゆきたい


Q:合意の前提として、協定書というのが具体的にあるわけですが


A:とりあえず、対話の広場ですすめてゆきたい
 (ここで終わりそうになったので、私から質問)


Q:フリーの山本です。海外では汚染ガレキの焼却に強い反発が起きており、多くの市民団体が申し入れなどを行なっている。それをご存知ですか。


A:……はい、一応、把握はしています。


Q:また、放射能汚染のせいで14000人が死んだとの研究論文が医学雑誌に発表されていますが、それに対してご意見は?


A:(動揺したのか、目が泳ぐ)科学的なことについては、あまり…


Q:科学的なことを聞いているのじゃなくて…

(ここで黒岩氏のサインを読み取ったのか、後ろから「山本さん、ここはマスコミの取材の場で、交渉の場じゃないんですよ」との職員の声)



 Q
:フリーは質問するなということですか?


A:そうは言っていません。(振り向くと、非常に人相の悪い職員)


Q:(幹事社)じゃ、他になかったら、これで終ります。


Q:待って、どれくらいの灰を入れるつもり?


A:他の自治体と協議中で、川崎・相模原で38000tと想定しています。実質1万トン・年というところでしょうか。
          ____________
 私の質問に、場が一瞬、固まりました。記者クラブは知事と共存関係にあるから、知事を困らせるような質問をしません。また「妙な質問をさせない」のは職員の任務でもあり、その直後、会見は打ち切られてしまったのでした。
 それにしても、住民を前にした説明会の態度と、記者を前にして見せた、この「自信」。それはいったいどこから来るの? こういう場合、「実弾」による切り崩しもありえるから、彼が何度も口にした「知恵」が、どうしても「金」に聞こえて困りました。まさかね。2012.1.18

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/