前記事の補足です。白老町は西胆振広域に参加するとばかり思っていたのですが、去年6~7月に参加を見送る決定をしていました。おそらく市民の反対が強かったのでしょう。以下、関連記事(朝日新聞)です。
西胆振、ごみ施設広域化破談 |
2017/09/04 ■2市町、参加見送り 西胆振地方で、7市町によるごみ焼却施設の広域化が破談となった。登別市と白老町が参加を見送り、室蘭市や伊達市など2市3町で焼却施設を更新することにした。広域化すれば地域全体で23年間に計23億円の経費節減につながるというが、室蘭、登別両市の住民や市役所間にある「対抗意識」も背景にありそうだ。 ■住民「不便」、市は財政懸念 登別 西胆振地方の室蘭、伊達、登別市など6市町は「西いぶり広域連合」を構成する。地域内にはごみ焼却炉が2カ所あり、広域連合が運営する「メルトタワー21」(室蘭市)と、登別市と白老町が運営する「クリンクルセンター」(登別市)だ。広域連合は今年2月、「メルトタワー21」の後継となる新施設を2025年度に供用開始する方針を決めた。白老町を含む7市町はごみ処理を広域化する協定を1999年に結んでいるが、登別市と白老町は今年6~7月に新施設への不参加を決めた。 登別市の試算によると、広域連合の新施設に参加すれば今後33年間で計12億6千万円、1年あたり約3800万円の経費削減となる。だが市は6月初めに6回開いた住民説明会で、「総合的に検討した結果」として不参加の方針を説明。計86人の参加者からも賛成意見が相次いだ。賛成の男性(84)は「お金の問題じゃない。自分でごみを持ち込む際に遠くなって不便だ」といい、このほかにも「地元の施設をなくせば市内の消費が6千万円減る」として賛成する意見もあった。渡部謙三さん(71)は国鉄分割・民営化の際にJRに不採用となり、「採用差別」として23年にわたって裁判で闘った。「雇用を奪われる苦しさを真剣に受け止めるべきだ」と、市の決定を支持する。一方、説明会では若い男性が「3800万円の財政的メリットがあるなら、広域連合に加わるのがいい」と述べた。だが反対意見はこの1件だけだったという。 ■「同床異夢」 市役所間しこり 2市町の不参加決定について、広域連合長を務める室蘭市の青山剛市長は「ぜひ一緒にごみ処理をしたいと調整をしたが、残念な思い」と話す。伊達市の菊谷秀吉市長は「不参加の決定が間違いだとは言わないが、悔いを残さないだろうか」と心配する。人口減少と高齢化が進む中、広域連携で行政コストを削減することは不可欠だと考えている。「地元の施設を残したいという感情論で、将来世代に負担をかけるように思えてならない。政治家は明日(将来)への責任を持つべきではないか」 登別市によると、広域連合の新施設に参加した場合、建設がピークを迎える24年度の負担金が9億円にのぼって財政を圧迫すると判断したことも大きかったという。だが市職員からは「(広域化を主導する)室蘭への不信感が払拭できなかった」という声があり、広域連合事務局の担当者が「資料づくりの段階から同床異夢のように進んでいると感じた」と話すなど、しこりがあることもうかがえる。登別市の小笠原春一市長は、住民説明会について「高齢者からの意見が多かった」と認めており、「市側の説明や情報提供の機会が不足していた可能性もあるかもしれない」と、今後若い世代の意見を聴くことに含みを残している。 西胆振地方では、室蘭と登別の合併構想が実現せず、室蘭、登別、伊達の3市にある消防本部を統合する協議もまとまっていない。室蘭工大教授を3年間務め、地域事情に詳しい永松俊雄・崇城大教授(公共政策学)は「地域住民にとって大きな損失を伴うだけに残念な決定。近隣自治体は対立ではなく、どう協働するかで生き残りを図るべきだ」と指摘する。 (三上修) 破談を残念がる記事ですが、ごみ処理広域化は、所詮「民営化」。コストが下がることはないし、住民の利益になることもありません。また、この記事は、高齢者は頭が固くて広域化を受け入れようとしないが、若い世代なら賛成しただろう、と言わんばかりですが、これも間違い。合併が何をもたらすかを経験した世代でなければ、今回の広域化に反対できないのです。一方、権利を守るどころか、自分の権利にも気づいていない若い世代は、基本的に社会に無知であり、業界のコマにされやすい。投票権が引き下げられたのもそのあたりの政治的判断だったわけ。 広域化や市町村合併は、いわば国内におけるグローバル化です。それは、個人の権利を弱め、地方自治の権利を奪い、行政を産業界のイヌに育てて初めて成立するのですが、それも市民運動を通して初めて見えてくるもの。動かない人には見えません。2018.12.16 |