芦名で「魚網」受け入れ? 神奈川県の非民主的「代案」

  関西キャラバンから帰ったばかりの私を待ち構えていたのは、神奈川の「異変」でした。まずはマスコミ報道から。
がれき受け入れ新案を説明へ 07月20日 07時22分
  神奈川県は、東日本大震災で発生したがれきを受け入れ、焼却したうえで横須賀市の処分場に埋め立てるとしていた計画を、対象を漁網に限り、焼却せず埋め立てる計画に変更し、来週中にも計画に反対している住民側に説明し、理解を求めたいとしています。
 神奈川県は去年12月、被災地のがれきを受け入れ焼却したうえで、横須賀市芦名地区にある県の産業廃棄物の最終処分場で埋め立てる計画を示しました。これに対して周辺の自治会は、処分場には放射性物質を安全に管理する機能がなく、農業や漁業への風評被害が生じる恐れもあるなどとして反対しています。こうした声を受けて神奈川県は、受け入れるがれきを津波のあと岩手県沿岸中心に放置されている漁網に限り、焼却せず埋め立てる計画に変更することを決めました。神奈川県は、放射性物質の検査で安全を確認したものを受け入れるうえ、焼却しないことで放射性物質が濃縮することもないとしています。神奈川県では、来週中にも黒岩知事が横須賀市を訪れ、この計画について説明し、自治会の関係者に理解を求めたいとしています。
http://www3.nhk.or.jp/shutoken/lnews/1003712081.html 
 国営放送・NHKは、まさに大本営報道機関に堕しています。なあに?「決めました」って。まるで「後はおとなしく従え」って言わんばかりだけど、決めるのは住民であって、国県じゃないっ!魚網だってヒ素・クロムなどの毒物や放射能に汚染されていること、時間と共に環境中に漏出して汚染を広げることくらい書かんかい。次の産経も、肝心なことはパス。
震災がれき受け入れで神奈川県が代案 漁網処理を提案へ 横須賀市の町内会に打診 産経新聞 7月19日(木)20時17分配信
 東日本大震災のがれきの広域処理をめぐり、神奈川県が被災地での処理が困難な漁網を、横須賀市芦名の県営産業廃棄物最終処分場に埋め立てる計画を、地元町内会に打診していたことが19日、関係者への取材で分かった。 横須賀市を通じて12日、地元の大楠連合町内会に受け入れを打診した。月内に具体的な説明を行い、住民の理解を得たい考え。町内会側は「漁網を受け入れてもらえないかという話があった。説明を聞くだけは聞く」としている。震災がれきの受け入れをめぐっては、黒岩祐治知事が昨年12月、焼却灰の最終処分場への埋め立てを表明したが、放射能を懸念した連合町内会の要請で今年2月に撤回。「他の知恵を出す」と計画を練り直していた。広域処理が必要とされる岩手県の漁具・漁網は約5万4千トン。環境省は6月29日付文書で処理先の見通しが得られていないとして、がれき受け入れを実施・調整中の自治体に協力を求めていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120719-00000604-san-soci



 芦名の処分場には「県内で発生した産廃しか受け付けない」という協定書(県と地元町内会住民が対象)があるので、「話を聞くだけ」でもすでに協定に違反しているのです。しかも「住民の理解」とあるけれど、ここでいう「住民」とは連合町内会役員を指し、この「代案」のことなど一般住民には全く知らされていません。
 芦名に限らず、焼却炉・処分場があるような地域は、自民党主導の保守的なところが多く、地元ボスがまるで「決定権」もっているかのように振舞うものなのです。それをなんとか押し返し、「拒否宣言」してもらったのに、ボス(人脈)がそのままなので、こうやってまた同じ問題がむしかえされるのです。この先も、何度でも。これではおとなしい住民だっていいかげん怒りますよ。
 地方をもてあそぶのはいい加減にせんかい! 2012.7.20
 緊急に神奈川県反がれき集会を開きます。
7月24日(火) 18時30分開始~21時
会場:横須賀市総合福祉会館7階第4会議室 汐入ダイエー隣
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3010/sisetu/fc00000079.html
 各地の情報を出し合い、問題についての理解を深めましょう。発表希望者、連絡を!

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/