大漁旗でバリケード、漁業者の怒りー淀江産廃問題 (10/01) で、私は米子市長が、事態打開のために「水面下工作」に訴えるだろうと述べておきましたが、まず、定例記者会見を利用して自らの正当性を主張しています。
全協流会に市長「残念」淀江の産廃問題
2017.10.4 米子市淀江町小波の産業廃棄物管理型最終処分場計画を巡る手続きに関連し、9月29日に開催が予定されていた市議会全員協議会が反対派の漁業者らの抗議で流会したことについて、伊木隆司市長は3日の定例会見で「大変残念。市民に心配をかけたことをお詫びしたい」と述べた。漁業者らは9月29日に議場前の通路を閉鎖し、全恊に出席する予定の県環境管理事業センターの職員を議場に入場させなかった。伊木市長は、「民主主義は言論により物事を議論し、動かしていくこと。《実力行使》は議会に似つかわしくない姿」とも語った。漁業者らは、産廃処分場から汚染水が海に流出することを懸念。8月にセンターが開いた漁業者向けの説明会でも怒号が飛び、漁業者側が説明を打ち切らせた経緯がある。伊木市長は、「計画の全体像を知っていただき、どこに抜かりがあるか指摘をいただいた上であれば、(漁業者側と)会うのもやぶさかではない」としている。(井上昌之)
会見の様子はTVでも流れたようですが、上は地元紙(日本海新聞)の記事。何の突っ込みも分析もない記事で、読者に「漁協の実力行使」というイメージを受け付ける魂胆を感じます。でも、この手のヨイショ記事は、かえっていろんな背景を暴露してくれているので面白い。その部分にマーカーをつけ、解釈を加えました。
まず、
一、市長はなぜ残念がっているか
なぜなら、もし当日の全協で、議員らが鳥取県への市長「回答書案」を了承すれば、本会議や常任委での実質審議なしに、県条例の手続きを一歩進めることになり、市は暗黙のうちに産廃事業への賛成を表明し、さらに「市有地貸与」を認めることになったからです。実質的な議会での審議がないということは、この事業には公開で議論したくない事情(違法性)が数多くあることを意味しています。そこで、市民の強い反対を押し切り、議論を封じるために使った違法な手が「全協」。それまで、「反対派」はずっと推進側の策に乗ってだまされてきたので、今回も大丈夫だと思ったのでしょう。ところが思いもよらなかった漁協の反乱で、シナリオが狂った、残念、というわけです。
二、市長に民主主義を語る資格があるか
「民主主義は言論により物事を議論し」というのは間違い。それ以前に何よりも必要なのは「法令遵守」でしょう? 反対派は何回も、「産廃予定地の中の市有地」の扱い、「自治会」に関するあやふやで不平等な扱い、また、関係自治会の「反対」について、法律に基づく説明と話し合いを求めてきましたが、それに一切応えなかったのは市長の方。また、漁協は、「どんな汚染物質がどれだけ流されてきたのか、その環境影響はどうなのか」と、きわめて具体的なことをたずねていますが、センターはそれに全く応えられなかったため、怒号が飛んだのです。事実を無視し、白を黒と言い張る人間が民主主義なぞ語るな。
三、事業者と一体化している米子市長
この記事で一番驚いたのは「計画の全体像を知っていただき、どこに抜かりがあるか指摘をいただいた上で・・・」との部分。だって、これまでは、この事業について何を聞いても「米子市は関係ない。事業センターに聞いてくれ」だったのよ。それが突然、計画の全体像も知り、どんな指摘にも答えられるようになったとは、考えられません。もともと、今の産業界の全面的後押しで市長になった伊木氏の任務はおそらく「市有地処分」決めて、この事業を着工・完成させることでしょう。つまり、彼の立場は最初から事業者と同じ。だから、公害や汚染の防止を求める市民の声は決して耳に入らないのです。・・・それに輪をかけてひどいのが米子市役所の担当課職員。
結論。よいこのみなさんは漁協を悪者扱いするマスコミやTVのウソ報道にごまかされないようにしましょう。私に言わせると、鳥取県の未来をだめにするのは事業者と行政(特に鳥取県、米子市)、未来を守るのが淀江漁協です。2017.10.4