もともと「動脈硬化行政」の神奈川県で、こういう↓話にならない事態が起きていました。医薬産業界の支援を受けて就任し、「未病ビジネス」にテコ入れしている知事の下で、公務員の思考力・判断力は相当低下しているようです。
(画像が縮小できないので、見にくいけどそのままアップします。)
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台風19号で断水 町の自衛隊給水支援に神奈川県が”待った”
2019/10/15 日刊ゲンダイhttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263282
陸自の給水車支援がムダに 「ルールが違う」という神奈川県対応に疑問噴出
大きな被害をもたらした台風19号で、自衛隊の給水車の支援がムダになる事例があったことがわかった。神奈川県山北町に13日朝、陸上自衛隊の給水車3台が到着していたのに、県の災害派遣要請が間に合わず、支援活動ができないまま引き上げていた。町は県に派遣要請を求めていたが、県側は「自衛隊に要請する前に、まずは県や日本水道協会に支援を求めるべきだ」などとして、事実上断っていた。県が給水車を送ったが、到着は自衛隊が撤収してから約6時間後。県は派遣要請の手順に適切に従ったとの立場だが、柔軟な対応が取れなかったことに町側は反発している。自衛隊への派遣要請を巡っては、これまでも連絡や調整に手間取る例が全国的に報告されており、課題となっていた。県は今回の対応に問題はなかったとしているが、疑問の声が噴出しており、検証を迫られそうだ。
山北町によると、台風による被災が予想されたことから、町のエリアを担当する約20キロ離れた陸上自衛隊駒門駐屯地(静岡県御殿場市)と断続的に情報交換していた。断水が発生した可能性が高いことを伝えると、陸自側は事前の準備を開始。13日午前6時前には出発準備が整ったことや、必要があれば県に災害派遣要請を求めるよう町に伝えた。これを受けて、町は電話やFAXで県に派遣要請を求めた。ところが、この求めに対し、県の災害対策本部の担当者は「ルールが違う。自衛隊にはほかにどうしようもなくなってから頼むもので、まずは県や日本水道協会に支援を求めるべきだ」などと主張したという。待ったをかけられた町が県とやりとりしていたところ、派遣要請が出されるのを見越してすでに出発していた陸自の部隊が、午前7時ごろに町役場に到着した。駒門駐屯地では支援活動を急ぐため夜を徹して早めの準備をしていたが、結果的に到着時点では派遣要請は出ていなかった。手続き上、要請が出ないと支援活動を始められないため、陸自側の判断で13日午前8時過ぎには撤収したという。 山北町の湯川裕司町長は、撤収する陸自の隊員に町役場で謝罪したという。「自衛隊とは日頃からおつきあいしており、すぐに支援に来てもらったのに、申し訳ないと謝りました。災害派遣要請の手順があることは分かるが、せっかく来てもらったので、住民に水を配ってもらえたら良かった。県には手順とかメンツがあったのかもしれませんが、もっと柔軟に対応して欲しかった」結局、陸自の給水車3台は引き上げ、代わりに県の給水車2台が来ることになった。町によると、県の担当者は「県の方で給水車が用意できるので、そちらを優先して欲しい。なんらかの状況で山北町まで行けない場合は、自衛隊に要請するのもやむを得ないが、まだそういう段階ではない」と主張したという。
渋滞もあって、県の給水車2台が到着したのは午後1時前だった。町では水害によって一時約2500戸が断水。町役場の支所などに土砂が流れ込み一部の道路が寸断されるなど、深刻な被害が出た。現在は県のほかにも複数の給水車が到着し、支援活動が行われているという。神奈川県災害対策課は取材に対し、町からの派遣要請の求めは断っておらず、「お預かりの状態」だったとしている。「県にも給水車がある。日本水道協会にもお願いしたのかと町に確認し、まずは県や協会に要請しましょうと町には伝えた。それで足りなければ自衛隊に要請するのが手順。県としては自衛隊が町に到着していたことは知らなかった」(同課の担当者)陸自駒門駐屯地の広報担当者は、給水車3台が活動できないまま撤収した事実関係は認めたが、「この件に関してはコメントを差し控えたい」している。
自衛隊の災害派遣については、文民統制(シビリアンコントロール)を守る観点や、市区町村でバラバラに求めて混乱するのを避けるため、都道府県知事が要請することになっている。現場の独断専行を許さないためにもこのルールは徹底されている。阪神・淡路大震災などこれまでの災害でも、要請に時間がかかり初動が遅れたとの批判があった。近年では、自衛隊は正式な要請を待たずに準備を整え、都道府県もすみやかに要請するよう、改善が進んでいた。それだけに今回の神奈川県の対応には、ネット上などでも疑問が噴出している。一方で、台風19号では神奈川県内でも各地で大きな被害が出ており、災害対策本部が慌ただしいなか、県が柔軟に対応できなかったとしてもやむを得ない面もある。県は災害対応もあって今回の問題の検証はこれからだとしている。災害派遣要請のルールを守りつつ、いかに早く住民を支援するかが、各自治体に問われている。(本誌・多田敏男※週刊朝日オンライン限定記事
実際は水はそのまま持ち帰ったようですけどね・・・この記事、最後の段落がよくない。災害の発生をすぐに把握できるのも、どこにどんな支援が必要かを判断できるのも、市町村です。台風19号については自衛隊でさえ即応対策をとっていたし、被災者救助が最優先されるのだから、山北町が現況を踏まえて事前に自衛隊に依頼していたのも間違いではありません。ところが県は町の求めに応じるどころか、町職員にグタグタ嫌味を言ってこれを断った(嫌味、というのは山本の推測です)。これぞ黒岩県政。
知事から自衛隊へ出動要請するのは、シビリアンコントロールでもなんでもなく、もともと国体保持と要人警護を最大の目的とするこの軍事組織と、住民保護を最大の任務とする基礎自治体の利害が反するため、政府組織である都道府県を間にかませているだけの話です。それを、レベルの低い首長は「知事の特権」ととらえ、自治体が独自で判断することに強い嫌悪感をもっているわけです。この事件に対する黒岩知事の発言は:
自衛隊の給水車が町役場にいたことについて「(自衛隊が)勝手に動くということはあり得ないことで、それが起きていたということだ」と述べた。(https://mainichi.jp/articles/20191016/k00/00m/040/228000c)
この発言の底には、自衛隊が軍事組織であり、その指揮権は総理にある、地方自治体は自衛隊と勝手に交流すべきでない、などの考えがあるのがわかります。一方で、その軍事組織は憲法の定め(第9条、戦力はこれを保持しない)に反しているし、その組織を養っているのは国民であるということは全く頭にないのでしょう。都道府県は政府の窓口に過ぎず、本来、「要らない組織」であることを、知事や都道府県の公務員は肝に銘じておいてほしい。「地方自治体のひとつ」? 笑わせるんじゃない。2019.10.21