偶然、山梨県のがれき受入れに関して、山梨県知事の記者会見(2012年4月3日)の記事を見つけました。黒岩知事の無法ぶりと合わせてみると面白い。以下、赤字山本。言葉使いを一部修正してあります。http://www.pref.yamanashi.jp/chiji/kaiken/2404/03_2.html##4
山梨県環境整備センターへの震災がれき受け入れについて
記者 : 一部報道で、明野処分場に(震災がれきの)広域処理の要請が来ているとの報道があったのですけれども、その事実関係や知事のお考えをお聞かせください。
知事 : おっしゃるように一部報道で、明野の処分場に震災がれきを受け入れてもらいたいとの要請が、国からあったと報道がありましたが、やや不正確でありまして、3月15日に環境省の関東地方環境事務所長が来庁したときに、一般論として山梨県で震災がれきを是非受け入れてもらいとの要請があって、具体的に場所を名指ししての要請は実際に無かったと聞いております。
ご案内のように明野の処分場につきましては、地元との公害防止協定によりまして受け入れる廃棄物が限定されておりまして、震災がれき及びそれを焼却した焼却灰は一般廃棄物でありますけれども、これは現行の公害防止協定上、受け入れられないことになっております。したがって現時点では受け入れができないということであります。同時に明野の処分場につきましては、シートの破損があって、それを修復して、受け入れを再開することについての反対派の反対があり、裁判所の仮処分等経て、ようやく受け入れが進みつつある状況でありまして、現在、我々としては安定的に受け入れられる状態に持っていくように努力している最中であります。
記者(追加質問) : 先ほどの明野処分場の公害防止協定で、一般廃棄物は基本的には受け入れないことになっていると思うのですが、今後、震災がれきを受け入れるために、北杜市と協議して協定を変えるよう働きかけるとか、そのようなお考えは今のところ知事にはあるのでしょうか。
知事 : くり返しになりますけれども、一昨年、遮水シートの破損の疑いがあって(操業を)ストップし、原因究明して、原因が明らかになって、そのシートを補修して、昨年、再開することにした。しかし、反対派の住民の皆さんが再開について妨害したものですから、裁判所に仮処分の申請をして裁判所から仮処分決定を得た。それでもなお反対派の皆さんが廃棄物の搬入の妨害をしましたので、裁判所執行官によって保全執行を行ってもらって、ようやくスムースに廃棄物の搬入が再開できることになったわけです。現在順調に廃棄物が受け入れられております。我々としては、そのような状況でありますので、その経緯からして当面のところは、明野処分場に廃棄物が順調にスムースに受け入れられるような状況にもっていくために努力しているということでありまして、今おっしゃったご質問の件については、当面そのようなことは考えていないというところであります。
記者 : 先ほどの明野処分場の公害防止協定のお話しが出ましたので、焼却灰を受け入れないということになっているとのことですが、先日の安全管理委員会でホウ素の値が上がっているということで、ホウ素が焼却灰に多く含まれているので、住民の方々には本当に入っていないのかという疑問を持たれている方もいらっしゃるようなのですけれども、その確認と、このホウ素の数値が上がらないにように対策を立てるというような発言があったかと思いますけれども、実際にはどのような対策をとられようとしているのかと、そこの2点をお願いします。
知事 : ホウ素につきまして、確かに先日の安全管理委員会の場でホウ素の値が上がっている(との報告があった)。しかし、明野処分場の基準の範囲内ではあるわけですけれども、上がっているので万全を期する対策として、ホウ素を軽減する措置を取りたいと。これはリースで機械を入れ、その機械を動かせばすぐに下がります。ホウ素というのは、今、明野の基準は1ミリグラム以下となっています。ホウ素の国の排水基準というのは10ミリグラムですが、暫定的に50ミリグラムに緩められているわけです。国の基準の10分の1という考え方で明野の排水基準ができているものですから、理屈を言えば50ミリグラムの10分の1ですから、5ミリグラムに上げても良いのです。そのような提案をすることももちろんあり得るのですけれども、しかし、今、1ミリグラムという基準にしてありますから、これは何としても守っていきたいということで、割と簡便なお金もあまりかからないホウ素の除去装置がリースとして使えるものですから、それを導入しようということであります。
ホウ素は焼却灰に含まれているということになるのか、むしろプラスティックなどに多いのではないかと聞くのですが、(森林環境部次長に対して)どうですか。
森林環境部次長 : 焼却灰にももちろん含まれていますが、例えば器の釉薬であるとか、廃プラスティック等にも含まれておりますので、今回の明野の処分場(のホウ素の値)が上がったからといって、それは焼却灰を由来とするということにはならず、もともと処分場に入れている施設の対象品目の中でホウ素が含まれているものも当然入っているということです。
知事 :そもそも焼却灰をあそこ(明野処分場)に入れているということは、これは絶対にありません。
震災がれき受け入れに関する市町村アンケートについて
記者 : 震災がれきについて、各市町村の受け入れに関するアンケートの回答期限が本日だと思うのですけれども、今、そのアンケート結果というのはまとまっているのでしょうか。
森林環境部次長 : 今日現在では、市町村の方から来ておりません。今日という回答期限はありますが、まだ市町村が検討されているところで、今現在は来ておりません。(以上)
**********
明野処分場と芦名処分場は、圧倒的な住民の反対を、権力と陰謀で押し切って強制着工した、という似たような経過をたどっています。違うのは、その後。明野の住民は、反対をあきらめず、その運動の中でシート破損が発見され、廃棄物搬入阻止、それに対する県の訴え、などという騒ぎに発展しています。これでは、山梨県知事だって、これ以上問題を大きくしたくないと判断するでしょう。
一方、横須賀の芦名はみごとに沈黙してしまいました。処分場着工を決めたのも、ごく一部の地元ボスと県の水面下交渉=接待=だったというのに、地元は怒らなかった。これが、現在の、住民の頭ごなしのがれき(魚網)受入れ交渉につながっているのです。県もボスも、「どうせ住民は動かない」とたかをくくっている。こういう力関係がある地域は、黙っていると状況はさらに悪化しますよ。
でも、たとえ住民の目に付く反対がなかったとしても、受入れ品目を制限した協定書にないものを入れようたって、それは無理。協定書は契約だから、水面下交渉で書き換えても正当性は担保できません。いくつか0の行政法にも違反するから、これに不満な住民たちは、関係者を相手取って訴訟を起こすことができます。そろそろきちんとした法的議論が必要だよね。2012.8.9