汚染はガンの危険因子

 あたりまえといえば、あたりまえですが・・・
 「ガン患者は公害、農薬、重金属汚染地に多い」。こう断言されると、ちょっとショックです。
 でも、これが、カナダの有名な環境保護団体、「CCNB(ニューブランズウィック保全委員会)」が昨年発表した報告書の結論です。
 1989年~2005年のガン登録データベースを用いて行われた調査で、まず7月に第一部が発表され、肺ガンの原因は、喫煙より汚染への職業的・日常的暴露の可能性が高いと指摘されました。「タバコ=肺ガン」を否定する人はいないけれど、「大気汚染=肺ガン」と考える日本人はいないのではないでしょうか? でも、事実はその通りなのです。11月の第二部では、セント・ジョン、ベルデューンなどガン患者が多い地域は、そうでない地域に比べて、産業活動が活発で環境汚染も多いことが明らかにされました。リポートは、ニュー・ブランズウイック州の14の地区を選んで、男女それぞれのガン発生率を明らかにし、ランキングをつけ、その背景を分析しています。
 男性の場合、主要四ガン(肺ガン、前立腺ガン、結腸ガン、膀胱ガン)の発病率が最高だったのがダルハウジー地区。女性では主要三ガン(肺ガン、結腸ガン、乳ガン)が最多だったのはミント地区でした。 いずれも工業地帯のようです。また、卵巣ガンや女性の脳腫瘍、男性の骨ガンの患者が特に多いホットスポット(多発地域)も、具体的な地域名があげられています。
「卵巣ガンの主な危険因子は農薬、金属、多環芳香族(PAH)である。農薬はさらに、脳腫瘍に関係する。電磁波の暴露は骨ガンのリスクを増し、 前ガン症状と診断された人は、二次ガン―だいたいが骨ガン―発症の危険性が高い」
 日本でこういう報告が出たら、地域の人が名誉毀損だなんて言い出すんじゃないか。「自分は病気じゃないから大丈夫、公害は存在しない」、面子もつぶれるし、不動産価格も下がる。農家なら野菜が売れなくなる方が心配って。こうして現実に目をつぶる人が多い限り、環境問題の解決は遠いのですが。リポートの原文はここ↓からどうぞ。2010.1014
http://conservationcouncil.ca/Health-Watch/

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/