横須賀市が選んだのは原発メーカー(新ごみ焼却炉)

 横須賀市は、なんと原発メーカーに新焼却炉を発注することに決めたようです。2013年9月、福島県鮫川村で、稼働したばかりの焼却炉が爆発事故を起こしていますが、それを違法な手続きにより着工、建設したのが日立造船。市民はそういう事実を知っているのでしょうか。

196億で日立造船JV/横須賀市ごみ処理施設DB
2015年2月2日 http://www.kensetsunews.com/?p=42893
 神奈川県横須賀市は1月29日、設計施工一括発注方式(デザインビルド=DB)を採用する「横須賀ごみ処理施設建設工事」を一般競争入札し、196億円
(税別)で日立造船・五洋建設JVに決めた。同30日に確定した。同JVのほか、JFEエンジアリング・熊谷組JVが210億8000万円(同)で応札し
た。予定価格は227億円(同)だった。対象業務は、施設の設計と施工で設計はプラント設備工事(焼却施設、不燃ごみ等選別施設)、建築工事(建築工事、造成工事、外構工事、建築機械設備工
事、建築電気設備工事)、その他関連工事の実施設計、測量、必要な許認可申請など。施工はプラント設備工事(焼却施設、不燃ごみ等選別施設)、建築工事
(同)、その他関連工事のほか、試運転と性能試験、運転指導なども含む。このほか代表構成員と構成員の施工分担や、市内企業への発注(請負代金額のうち10億円以上)などを定めている。処理方法は、焼却施設が連続燃焼式ストーカ炉、不燃ごみ等選別施設は破砕機(1次、2次)、選別機(粒度選別機、磁選機、アルミ選別機など)。施設規模
は焼却施設が1日360t(120t×3炉)、不燃ごみ等選別施設は5時間30t。工事場所は、長坂5-3878ほか(計画敷地面積約12.5ha)。工期は2020年2月28日まで。

 「一般競争入札」といっても、だいたいは「業界調整済み」。たまに事情に詳しくない新参企業や、正義感のある企業が入札に参加し、事情を知って内部告発したりして波風が経ちますが、最近はそんな談合情報をほとんど聞きません。すぐに囲い込まれるのでしょうね・・・それに、311以後の廃棄物処理事業にはものすごいお金が動いているから、談合の度合いはもっとひどくなっているはずです。
 この横須賀「新ごみ」は、これまでも自治会連合会を囲い込んだ大掛かりな詐欺的工作をもとに、事業をすすめてきたという経過があります(本ブログの記事↓参照のこと)。ほかにも、「ごみ問題」のカテゴリーからいろいろ読むと、「廃棄物の闇」にぞっとされるでしょう。

 しかも、横須賀市はほかの市町村とはまったく違う! 米軍基地・米軍住宅を抱え、原子力空母に「母港」を提供している「軍都」なのです。しかも現在の空母ジョージ・ワシントンの退役後は、あの「トモダチ作戦」で被爆したロナルド・レーガンに交代する予定。レーガン号の乗組員は311の死の灰にさらされ、2人が死亡、200人以上が白血病や脳腫瘍、(生まれた赤ちゃんの)先天性障害などで、TEPCOなどを相手どって提訴していますが、おそらく本国には置いておけないほど線量が高いのでしょう。すでに市は米軍の一般廃棄物を処理しているし、基地全体から出る廃棄物については、「誰も監督していない」「記録はない」「調べようもない」とのことでした(昨年、防衛省聞き取り)。そこにもってきて、横須賀市が選んだのは原発メーカー、「無責任」が常態化している日立造船・・・これは新ごみ焼却炉は、基地と放射能汚染の問題をすぐ抱え込むことになるでしょう。住民は「大人しい」「耐える」と思われているんでしょうね。2015.2.4

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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