横浜市下水汚泥燃料化施設はアセスもやっていなかった

 昨日の記事大阪も横浜も下水汚泥を焼却処理する の続き。いったい現状がどうなっているのか、市下水道設備課(環境創造局)に電話で聞きました。まず、下水汚泥焼却灰の保管状況ですが、横浜市は今も、二ヶ所で埋め立て不能な高濃度焼却灰を保管しています。

   北部汚泥資源化センター(鶴見)に11,000トン

   南部         (金沢) 21,500トン
 これに「現在も日々、北部で10トン、南部で20トンが増え続けています」。ただし、「最近の焼却灰は埋め立て可能ではあるが、ていねいに説明している最中」とのこと(一般廃棄物の焼却灰は現在も埋め立てていますので、念のため)。 
 次に金沢区に建設予定の下水汚泥燃料化施設について聞きました。市の説明はここ↓。
 南部汚泥資源化センターの汚泥焼却炉(3号炉)の老朽化に伴う更新にあたり、本市では初めて汚泥処理プロセスを焼却から燃料化に転換し、下水汚泥の燃料化施設を整備するとともに、維持管理及び運営を行います。
 
 下水汚泥を低温で炭化し、それをJパワーが熱源として購入するというもの。大都市では将来の処分場用地が確保できそうもない、ということから、いわば下水汚泥の全量焼却の道を選んだわけです。おそらく磯子の火力発電所で燃やすのでしょうね。PFIなので企業に完全丸投げ。それは、担当課とのやりとり(超簡略化)からわかるでしょう。
 「横浜では初めてだし、アセスはやったと思うけど、いつ終わったの?」
 「え、アセス・・・ちょっと待ってください」
   (返事できず。それから二時間後」
 「これは産廃を扱うので、アセスの対象外です」
 「は?! どういう意味?」
 「産廃を扱うけれど、下水道は該当しないらしい・・・」
 「何、それ?」
 「事業を始めた時に、アセスの対象ではないという確認をとったようです」
 「誰がどこに確認したの?」
 「う・・・ちょっと待ってください」
   (さらに二時間後)
 「確認したのは環境影響評価課です」
 「ふ~ん、それじゃ確認の文書はあるの?」
 「…いえ、文書は残っていません」
 「どうして? わざわざ確認を取ったというくらいだから、大事な文書のはずよ?」
 「でも、これは施設の変更なので…」
 「建て替えったって、新たに作るわけだから、普通はアセスをやりますよ。一日150トンも処理するし、前例のない事業だし」
 「ちょ、ちょっと待って下さい…」
 「予算はいつ上程したの?」
 「あ、この事業は産廃だから、議会は通さなくても…」  (゜ロ゜;)
   (…他の質問にもほとんど答えられず、再度確認してもらいました)
 「…予算は平成23年度に予算化されています。それで、確認をとった文書というのは…残していません。また、本事業は、アセス条例施行規則別表第一の6の別表によってアセス調査を行うべき事業に該当しません」
 
 
 
 
 条例の対象外なら最初からそう言えば済みます。そうではなく、「確認した」だの、「産廃だから~~」なんて言うのは、この事業が「特例」扱いだという意味。・・・横浜のアセス条例は、中田が市長になって以来、ほとんど有名無実化したというのが私の感想ですが、改めて見直すと、24年改正でとても読みにくくなっており、理解できない。もちろん、廃棄物処理施設もアセスの対象事業となっていますが、「判定」制度を入れているので、市長がどこかでOKを出したのでしょう。http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/etc/jyorei/jyorei/eikyou/jyorei/jyorei.pdf
(横浜市のアセス条例と同施行規則)
 かくて、金沢区にはまた公害源ができることに。今回はアセスさえなし。地域の住民がいかに甘く見られているのかわかります。2014.4.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/