日本、米の小麦公開買い付けをキャンセル、GMO汚染小麦発見で

  5月30日、こういう↓ニュースが流れました。

米西部農場に遺伝子組み換え小麦 農務省「深刻な事態」
 
2013/05/30
12:14
【共同通信】【ワシントン共同】米農務省は29日、西部オレゴン州の農場で、除草剤への耐性を持つ遺伝子組み換え小麦が見つかったと発表した。米政府は遺伝子組み換え小麦を認可していない。同省は「事態を極めて深刻に受け止めている」として、本格調査に乗り出した。AP通信によると、この遺伝子組み換え小麦は人体への影響はなく、流通されたことも確認されていない。しかしオレゴン州の小麦の90%は輸出されており、米国内では日本など大口輸出先への影響を懸念する声が強まっている。同州内の農家が自分の畑で、除草剤が効かない小麦を発見した
http://www.47news.jp/CN/201305/CN2013053001001203.html

 記事には書いてありませんが、見つかったのは、除草剤のグリホサートを種に組み込んだ「ラウンドアップ・レディー小麦」でした。ラウンドアップ・レディは、モンサントの商品で、種に除草剤を組み込んであり、除草剤を散布しても、耐性がある小麦は枯れず、雑草だけを枯らすため省力化につながる、というのが売り。つまり、農薬を大量に使わせるために開発した商品です。小麦に関しては消費者の抵抗が大きく、モンサントも小麦への応用は中止していたのですが、十分にコントロールできなかったのでしょう。これに対し、さすがの日本政府も、オレゴン産小麦の輸入を、当面、見合わせることとしたようです。

オレゴン産小麦の輸入を停止 遺伝子組み換え発見で


2013.5.31
13:12
 農林水産省は31日、米オレゴン州の農場で遺伝子組み換え小麦が見つかったことを受け、オレゴン州産の小麦の輸入を当面、停止することを明らかにした。輸入を止めるのは、オレゴン州産が含まれる米国産小麦の銘柄「ウエスタン・ホワイト」。ケーキやビスケットなどのお菓子に用いられることが多いという。農水省は、政府が輸入した小麦を国内の業者に売り渡す入札を30日に実施したが、ウエスタン・ホワイトは対象から外した。遺伝子組み換え小麦が見つかった経緯など詳細な情報提供を米側に求めており、6月上旬に予定する次回入札でも対象から外す可能性がある。農水省によると、小麦の輸入量は年間500万トン程度。米国産が約300万トンを占め、うちウエスタン・ホワイトは80万トン前後。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130531/biz13053113130016-n1.htm

 日本の小麦自給率はわずか10%ほどしかないから、この事件を受けてケーキやお菓子の値段が上がるかも。でもそれで済めばまだいい。モンサントの遺伝子組み換え小麦の実験は全米16州にわたっているから、他の州でも汚染小麦が見つかるのは時間の問題です。また、アメリカの小麦製品そのものもーたとえ低レベルでもー除草剤に汚染されていると考えておいた方がいいでしょう。それに、飼料用に輸出されているアメリカ産大豆やとうもろこしは、ほとんどこのタイプ。
 日本政府はすでに、多種類の遺伝子組み換え作物を認めており、大豆、とうもろこし、ナタネ、ワタ、テンサイなどには、遺伝子汚染が静かに広がっていると診るべきでしょう。人の体は食べたもので作られてゆく。GMO食品の危険性が証明されるのは、放射能の害よりも長くかかるかもしれませんが、放射能と違って、GMOは拒否できるのです。2013.6.2
(タイトルを変えました。2013.6.4)

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/