新潟市、試験焼却延期  公害防止協定が歯止め













  11月26日深夜、日が変わろうとするころ、新潟市は数時間後に予定していた試験焼却の中止を決定しました。うー、住民の「勝利」は久しぶり。北九州、静岡、と負け続けだったもんね。
 新潟市がれき試験焼却を延期
11月26日 23時29分 NHK新潟放送局
 新潟市は東日本大震災で発生した岩手県のがれきの試験焼却を27日から始める予定でしたが、26日受け入れに反対する住民などの激しい抗議活動で焼却施設にがれきを運び込めず、試験焼却の予定を延期することになりました。がれきは、26日午後5時半に、トラックで、試験焼却が行われる新潟市江南区の亀田清掃センターに運び込まれる予定でした。しかし、センターには、反対している地元の住民や市民グループのメンバーおよそ50人が集まり、入り口に立ちふさがってトラックの行く手をさえぎるなど激しく抗議しました。新潟市の担当者が説得にあたりましたが、住民たちは応じず、やむをえず、がれきを積んだトラックは、JRの貨物ターミナルに引き返しました。
このため新潟市は、27日から予定されていた試験焼却を延期して、あらためて住民側と話し合うことになりました。今後の見通しについて新潟市の若林孝副市長は「話し合いの日時など具体的な段取りは決まっておらず、検討したい」と述べるにとどまりました。焼却施設に近い亀田59区中島大月自治会の浅野ミユキ自治会長は「安全性がわからないがれきの焼却は受け入れられない。放射性物質による内部被ばくも心配で、市長には考え直してもらいたい」と話していました。
http://www.nhk.or.jp/lnews/niigata/1033766011.html?t=1353945339035
 この記者は何一つ触れていませんが、市側が試験焼却を延期せざるを得なかったのは、住民が同地の自治会と結んでいた「公害防止協定」を楯にしていたからです。その中身については、この方のサイト↓に動画がアップしてあるので、ぜひご覧下さい。http://merx.me/archives/29026
>>” src=”http://merx.me/wp-content/themes/lavender-dream/images/right.png”><BR style=[TwitCasting] ガレキ焼却反対派と若林孝新潟市副市長の攻防。
副市長「コンテナを入れさせていただきます。」
反対派「だめです。」
コンテナの搬入が出来ず、明日の試験焼却は見合わせることとなった。
若林副市長が篠田昭市長に報告したところ、「寒いし怪我人が出ても困る。ましてや事故があったりすると最も困る」と言われたという。北九州市や大阪市では警察の動員で逮捕者も出るなか、ここでは、警察による威嚇もなく、逮捕者も出ず、抗議する側も粘り強くも過激になり過ぎず、平和裏に搬入が止まりました。双方に敬意を表したい。
こちらの動画には、副市長と記者団のQ&Aの要点もアップされています。そのまま転載します。
>>” src=”http://merx.me/wp-content/themes/lavender-dream/images/right.png”><br />
<FONT color=#0000ff> 11月27日午前8時30分から亀田の、29日から新田の清掃センターで</FONT><A href=震災瓦礫の焼却を予定していた新潟市
ですが、26日反対派住民が入り口に立ちふさがるなど抗議活動により焼却施設にガレキを搬入することができず、先ほど、若林孝新潟市副市長が記者会見で明日27日の試験焼却を見合わせると発表した。今後の対応についても、「コンテナの搬入が出来なかった。それを踏まえて検討」「基本的に公害防止協定を順守してやっていく」などとし、見直しを強く示唆した。
-若林孝副市長の会見概要書き出し-
亀田を搬入中止して、新田というのは、やっぱりちょっと、いかがなものかなというふうに判断させてもらいました。
Q-今後については?
ですから私どもとすればなんとかあのー、広域処理なんとか協力していきたいと思っていますけれども現実問題、今日コンテナの搬入が出来なかったわけですよね。出来なかった。それを踏まえていろいろなことを検討していかなきゃダメと思っていますけれども。あのーさっきの今なので、具体的な段取りは決めていません。
Q-改めて住民と協議?
そうですねあのー、公害防止協定というのがあって、そこに色々書いてあるわけですから、そこにいろいろ書いてあることを順守してやっていかなければ駄目だと思っています。基本的に公害防止協定を順守してやっていく。だからそこに書かれていることは、いろいろなことが書かれているわけですよね。そんなことで考えています。
Q-市長の考えは?
(コンテナ搬入の)現場におられないので、現場の状況を報告させていただきました。
Q-どういう言葉が?
寒いし怪我人が出ても困る。ましてや事故があったりすると最も困ると。
Q-中止に至った感想は?
なかなか国の基準とかいろいろあるわけですけれども、環境省の基準がどうだとか、国際原子力機関がこう言ってると話をしても、なかなか福島原発事故以降の原子力行政の影響とか色々あるでしょう、国がいってるから“そうだね”という話にはなりにくいと、なりにくいんだなと改めて思いました
(転載ここまで)

 20日、21日と新潟市に行き、いろんな部局を取材して職員と話しましたが、みんな穏やかで、正直。都会のウソツキ公務員に慣れている私には大きな驚きでした。でも、勉強不足は深刻で、現地の亀田清掃センターは、基準値声の水銀が出ていたことが発覚したばかり。住民が冷たい雨の中、反対行動をくりひろげたのは、このままでは取り返しがつかないことになる、と実感したからに他なりません。新潟市長は、若林氏の「公害防止協定を遵守する」との言葉を守ってもらわないとね。2012.11.27

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/