放射能に汚染された下水汚泥がそろそろ問題化し始めています。今日は神奈川県のニュースを二つ。まず、川崎市が汚染灰の海面埋立を再開したというニュースから。
ごみ焼却灰埋め立てきょう再開、浮島処分場で放射性物質吸着/川崎
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1304250049/
「吸着させる」とは、飛灰にゼオライトをふきつけて放射性物質の濃度を下げるだけで、放射能が固定されるわけではありません。いわば「薄めて捨てる」だけの話。また「試験を重ねた」というのも、せいぜい実験室レベルの試験をわずか一ヶ月ほど実施しただけ。それをいきなり、過酷な自然環境(海面)で実証する、というのはあまりにも乱暴です。こういう場合、「問題なし」という結果が出るのは決まっているから、今は保管されている、2011年分の高濃度の飛灰(保管中)も、やがて海面埋め立てされることでしょう。この件、昨秋から出ていたのですが、市民は盛り上がらず。川崎だけの話じゃないんですけどね。…次は藤沢。
下水汚泥焼却灰問題、「希釈施設」建設が事実上凍結に/藤沢
2013年4月23日 放射性物質を含む下水汚泥焼却灰が下水処理場にたまり続けている問題で、建設残土などを混ぜて濃度を下げる「希釈施設」の建設を計画していた藤沢市が、同計画を事実上凍結することが22日、分かった。市は「計画を報道され、(風評被害を恐れる)再資源化業者から受け入れを拒否された」と説明している。市担当者が同日、一部市議に対し「現時点で受け入れてもらえる業者を見つけることは難しい」と説明。めどが立つまで、希釈施設の建設を当面見送る方針を示したという。今後は、焼却灰の量を抑制し保管場所の延命を図るほか、放射性物質を低減させる技術の開発に注目していく見通し。計画では当初、約5千万円を投じて、辻堂浄化センター(同市辻堂西海岸)内に灰を40倍に薄める希釈施設を新設。設備は月約540万円で借りて、来年1月ごろから運用を始める予定だった。一部費用は2013年度予算案に計上し、市議会でも可決されていた。費用はすべて東京電力に請求することも決めていた。しかし、この計画を4月上旬に神奈川新聞などが報じた結果、業者から相次ぎ受け入れを拒否されたという。東京電力福島第1原発事故前の焼却灰はセメントの材料として製造会社へ搬出し、処理してきた。しかし事故後、焼却灰の放射性物質濃度が急上昇し、セシウム134、137の合算値が1キログラム当たり最大6415ベクレル(乾燥させた固形物中の濃度)となった。12年11月以降は300~400ベクレル台で推移しているが、受け入れの拒否は続いている。最終的な行き場が決まらない焼却灰は、同センターで約1600トン、大清水浄化センター(大鋸)で約220トン積み上がっている。国が示す焼却灰の処分基準は市場流通前に100ベクレル以下、生コンなどに利用する場合は倍以上に希釈されるため200ベクレル以下としている。県内の別の下水処理場では、現在の藤沢市と同じ程度の放射性物質濃度でも再資源化業者が受け入れている例が少なくない。
ごみ焼却の「飛灰」より、放射能濃度が何倍も高いのが下水汚泥焼却灰。本来は、その焼却処理の是非を問うべきなのに、藤沢市は、やっぱり「混ぜて薄める」方式を選んだわけ。それも「建設残土など」を混ぜるというから怖い・・・でも、他の市町村の事情もほぼ同じで、多少の濃度なら、再資源化業者に秘密裏に引き取らせているのです。秘密裏、というのは、「ばれると、引き受けを断られる」から。とりあえず目の前から消えればいい、という排出者側の判断が優先され、受け入れ先の住民の安全は無視。こうやって、全土に汚染が拡散しつつあるわけです。2013.4.29