宮城県:がれき、新規要請はもうしない

 大分県のがれき受入れが中止されました。宮城県から、広域処理の新規要請はしないことを受けての決定です。まずはめでたしめでたし、といきたいところですが… 
 津久見がれき受け入れなしに(18:00)
TOSテレビ大分 2012年7月25日
 東日本大震災で発生した災害がれきについて、津久見市での受け入れは事実上なくなりました。広域処理について宮城県が他の自治体への要請を新たに行わず県内で処理を進める考えを示したものです。これまで県では東日本大震災で発生した災害がれきの広域処理について津久見市にある太平洋セメントの工場での受け入れに向けて進めてきました。しかし、大分県が受け入れを目指していた宮城県のがれきについて宮城県は25日に広域処理については新たな要請は行わない考えを示しました。
 宮城県の本木隆環境生活部長は「まだまだ県内だけでは足りないという実態はあるんですが、(県外の)受け入れの自治体、住民に多大なる混乱や軋轢ご迷惑をかけていると、今後は受け入れの受諾をしていただいている(県外の)自治体とそれから県内処理の拡大でなんとか焼却はやっていきたい。」と話しました。宮城県がこのように方針転換した背景には災害廃棄物の集積がほぼ終了し、当初1500から1800万トンと見積もっていた推計量がおよそ1250万トンと減ったことがあげられます震災がれきで岩手県の分については6月時点で広域処理の必要がなくなっていました。これに加えて宮城県の処理が必要なくなり事実上がれきの県内での処理はなくなりましたこうしたことから県は津久見市で予定していた今後の住民説明会の中止を決めました。
 これを受けて広瀬知事は「ごく一部だと思いますけどご理解が頂けなかった。そういう意味では真心を示すことができなかった残念だった」「県としては引き続きできるだけのことをやりながら被災地の1日も早い復興を支援していきたい」と話し、吉本津久見市長は「最初は驚いたが地元で出来るならそれが良いと思う私たちのことを気にかけてくれたのではないか」と話していました。
http://www.tostv.jp/news/index.php?nno=12069 (動画あり)
 宮城県側の発表を見ると、けっして手放しではよろこべません。というのは、「すでに受け入れ表明した自治体に、処理量の拡大を要請する」、「不燃物も引き続き全国の自治体に受け入れを要請する」なんてあるから。神奈川県は不燃物受け入れのモデルケースか・・・・・・
がれき広域処理、可燃物は新規要請せず 輸送費用など考慮
河北新報 7月26日(木)6時10分配信
 宮城県は25日、東日本大震災で発生した県内のがれきの広域処理について、焼却処理する可燃物に関しては、既に受け入れを表明した自治体以外への新たな要請を行わない方針を明らかにした。仙台市内で同日あった県内全35市町村による災害廃棄物処理対策協議会の会合で示した。
 輸送コストの問題や、がれき受け入れに伴う放射能不安が根強いことも考慮。県内処理の拡充を図るとともに、既に受け入れを表明した自治体に処理量の拡大を要請する。目標とする2013年度末までの処理完了を目指す。
 現在、可燃物の処理を受け入れている自治体は青森、山形、福島、茨城、東京の5都県。これまでに計13.8万トンの処理を進めている。8月には北九州市が受け入れを始め、年間最大3万9500トンを処理する予定。再利用する木くずは、東北、関東地方の近距離の自治体に要請する
 不燃物の広域処理については、茨城県内の民間企業と調整中の3万トン以外、受け入れ先のめどは立っておらず、引き続き全国の自治体に受け入れを要請する方針。今後、広域処理が必要な県内のがれきは100万トン。このうち可燃物は22万トン、木くずなど再生利用分は35万トン。残り43万トンは埋め立てが必要な不燃物になる。本木隆県環境生活部長は「広域処理が必要な状況は変わらない。処理量の拡大を含め、引き続き受け入れをお願いする」と理解を求めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120726-00000002-khks-l04
 つまり、可燃物がなくなったので、広域処理の対象を不燃物にすりかえたというだけの話です。まちがっても、これでがれき広域処理が終わったなんて考えないように。システムはちっとも変わってないんだから。今後、がれき受入れに意欲満々の大阪市、北九州市など、大都市に問題が集約されるでしょう。がれき広域処理には、オモテでもウラでも巨額の金が飛び交うから、黒い知事がいるところほど状況は厳しくなる。市民運動の「質」が問われています。2012.7.26

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/