順被災地の千葉県が、がれき処理に手をあげ、さらに「一時保管地」(実質的には最終処分場)の建設を決め、市民の反発を招いています。どうも強制着工しそうなムードですが、これは告発モンです。なぜなら、星野市長が言ってるように、「基礎自治体の意思を無視」することは憲法違反だから、そして、高濃度の放射能に汚染されている焼却灰を水源地近くに埋め立てるのは、人の健康を害するから。ま、元タレントなぞを知事に選ぶからこういうことになる……
焼却灰保管問題 知事に抗議、決議文 我孫子・印西両市議会など、不信感おさまらず/千葉
毎日新聞 6月20日(水)12時1分配信
森田健作知事が手賀沼終末処理場に焼却灰の一時保管施設の建設を決めた問題で、処理場がある我孫子、印西両市は、知事の建設表明から1日たった19日も、決定を強く否定する抗議文を知事に送りつけたり、丁寧な説明を求める決議文が出されるなど反発が高まっている。県は保管量の限界を理由に、来月にも着工に踏み切る方針だが、地元の反対を事実上無視した形の強行突破に不信感がおさまる気配はなく、今後も紆余曲折がありそうだ。
印西市議会は、6月議会の最終日の19日、より丁寧な説明を県に求める決議文を全会派一致で決議した。決議文では「到底住民の理解を得られたものとは言い難く、県の責務(説明責任)を果たしていない」とし、市民への全体説明会の開催、施設の安全性や風評被害に対する対応などを検討するよう求めている。議場で決議文を読み上げた松本多一郎市議は「議会として何か対応しないと住民に説明がつかない。県の今後の出方次第で新たな行動や要望が出てくる可能性がある」としている。 また、我孫子市の星野順一郎市長は同日、森田知事宛てに抗議文を郵送した。内容は「一時保管場所について、県に複数の候補地を求めてきた。(しかし)新たな提案もなく、(国の)最終処分場の候補地も不透明。決定は唐突かつ乱暴で、強く抗議する」と訴えている。知事からの事前連絡がなかった我孫子市議会も同日、知事に対して、議長名の抗議文をファクスした。連絡さえないままの県の発表や周辺住民が反対していることをあげ、「基礎自治体の意思を無視した県の暴挙は許されない」としている。【橋本利昭】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120620-00000119-mailo-l12
千葉県の焼却灰は一時、7万8000ベクレルなどと報道されました。これは、下の記事にあるように(数字はアラビア数字に変えています)、ごみ焼却処理によって放射能が濃縮されたため。どこの自治体も、今、ごみを徹底減量し、焼却量を極力減らすことが求められています。それを、何もしないで、これまで通り燃やし続けていれば、こうなるのも当然です。
我孫子市 ごみ収集支障の恐れ 「焼却灰表面線量高い」→搬入拒否
2012年6月6日
我孫子市は5日、清掃工場「市クリーンセンター」(同市中峠(なかびょう))から発生するごみ焼却灰に関し、処理業者から放射性物質問題を理由に受け入れを拒否され、工場内に灰や収集した可燃ごみが大量にたまっていることを明らかにした。灰の放射性セシウムは国の基準(1kg当たり8000べクレル)以下だが、処理業者が独自の基準で受け入れを中止した。市は受け入れ先が確保できない場合、一カ月程度で家庭ごみの収集に支障が出る可能性があるとしている。
市によると5月18日、灰の八割の処理を委託していた埼玉県のリサイクル業者から「表面線量が毎時1.5マイクロシーベルトと高い」と今後の受け入れを拒否された。業者からは5月に入り、設備点検の名目で受け入れ量を引き下げられていた。灰に含まれるセシウムは、5月時点で1kg当たり3080ベクレルと国の基準を下回っている。行き場のない灰は、4日時点で500トンに。工場内の貯蔵庫に収まらず、敷地内に急きょ、コンテナ8台を並べて保管している。さらに数十台を手配するとともに、使われていない建物を仮保管に利用しようと対応に追われている。別の受け入れ業者に処理量の増加を打診したが断られ、ごみ処理自体の民間委託も検討したが頓挫。現状では主力の業者が「線量が毎時0.4マイクロシーベルトに下がれば再開」というほか、以前から関係のある茨城県や長野県の業者と交渉している。 焼却のペースを落として灰の発生を抑えているが、保管余裕はほとんどない。工場の担当者は「最悪の場合、一カ月もたない」と収集への影響を懸念している。
我孫子市は福島第一原発事故後も、国の基準を超える処分不能の灰は発生していなかった。煙から採集されセシウムの濃度が高い「飛灰」と、燃えがらからの比較的濃度が低い「主灰」を混合し、セシウム濃度は下がっていたからだ。だが、震災から約一年三カ月を経て、柏市など周辺地域と同様、焼却灰問題が深刻化した。我孫子市の担当者は、国の基準を下回る状況で受け入れ拒否を受けたことに「国の基準は何なのか」と困惑する。星野順一郎市長は「処理業者の独自基準にはとてもじゃないが対応できない」と述べ、基準の統一と徹底を求めている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20120606/CK2012060602000133.html
ところが昨日、この問題は意外な展開に。
千葉 焼却灰の処理を長野県で
6月27日 4時42分
放射線量が上がったとして、埼玉県内の業者からごみの焼却灰の受け入れを拒まれ、先月から灰の保管を続けていた千葉県我孫子市は、長野県に新たな受け入れ先を見つけ、搬出を始めることになりました。我孫子市のごみの焼却灰は、検出される放射性物質の濃度が、国がそのまま埋め立て処分できるとした目安を下回っています。しかし、灰の8割を受け入れてきた埼玉県内のリサイクル業者が独自に放射線量を測定した結果、数値が以前より上がったとして、先月から灰の受け入れを拒否したため、市では650トンの焼却灰を処分できず、コンテナなどで保管していました。
我孫子市は、今後新たに発生する焼却灰の受け入れ先を探した結果、長野県のリサイクル業者が、放射性物質の濃度が国の目安を大幅に下回る、1キログラムあたり2500ベクレル以下の灰を引き取ることで合意したということです。これにより我孫子市では、焼却灰の大部分は今週から搬出できるようになったとしています。我孫子市は今後、放射性物質が検出される原因とみられる草や落ち葉を取り除いてから、ごみを焼却することで放射性物質の濃度を下げ、さらに安定的なごみ処理に努めるとしています。
我孫子市は、今後新たに発生する焼却灰の受け入れ先を探した結果、長野県のリサイクル業者が、放射性物質の濃度が国の目安を大幅に下回る、1キログラムあたり2500ベクレル以下の灰を引き取ることで合意したということです。これにより我孫子市では、焼却灰の大部分は今週から搬出できるようになったとしています。我孫子市は今後、放射性物質が検出される原因とみられる草や落ち葉を取り除いてから、ごみを焼却することで放射性物質の濃度を下げ、さらに安定的なごみ処理に努めるとしています。
我孫子市長の苦肉の策のようですが、これは問題をさらに複雑にします。だって、千葉県内でさえ反対があるのに、長野県民がおとなしく受け入れるとは考えられないから。その民間業者が、ちゃんと説明責任を果たすのか、住民は合意を与えるのかも不明。もちろん、それも長野県における「基礎自治体」の権利だから、無視はできません。この問題は深刻な汚染がからむため、民間事業者の営利を優先として考えるべきではないのです。2012.6.29