佐那河内の広域焼却炉の中止が正式決定

 数日前、徳島新聞にこんなニュースが流れました。下線山本。

佐那河内ごみ施設、現候補地白紙撤回へ 30日の推進協で承認
2015/11/28
14:43
 http://www.topics.or.jp/localNews/news/2015/11/2015_14486894570612.html
 徳島県東部7市町村による広域ごみ処理施設建設計画を進めてきた徳島東部地域環境施設整備推進協議会(会長・原秀樹徳島市長)が
30日、徳島市役所で開かれる。建設候補地の佐那河内村で計画をめぐる出直し村長選が1日に行われてから初めての開催。岩城福治村長は、公約通り候補地の白紙撤回を求める意向で、他市町長も容認する見通しだ。(中略)徳島市以外の市町村は、いずれも引き続き広域整備を模索したいとの意向を持っている。浜田保徳小松島市長は徳島新聞の取材に「費用面などから単独整備は難しい。徳島市に引き続き協議会に残ってもらい、もう少し時間をかけて話し合いたい」とし、小林智仁石井町町は、「これまで通り広域で進めていきたい」と述べている。協議会でもこうした考えを示すとみられ、結論が注目される。協議会は2012年7月に発足。14年10月の会合で、佐那河内村を候補地とする基本計画案に合意した。

 おかしな記事です。協議会は2012年に発足したばかり、佐那河内村を広域の予定地として決定することが事実上の目的だったため、発足までの経過を示す文書は不存在。住民に知らせないまま、突然の「予定地発表」だったのです。協議会はこうした水面下の議論を進めてきただけで、「広域化」は実行されてもおらず、住民は誰も支持していません。なのに、「これまで通り広域で進めていきたい」だって?  おそらく、30日の協議に影響を与えるために書かれた記事でしょう。でも、30日当日入った連絡によると、

  • 岩城村長は広域化計画の白紙撤回を公式に表明した
  • 推進協議会の解散が決定された
  • 徳島市は単独で施設計画を行うことを表明

したのです。さらに、他市の町長からは特段の異議も出なかったとのこと。要するに、国策絡みの「ごみ処理広域化計画」徳島版は、人口3千ほどの小さな村の「反乱」で、完全に崩壊してしまったのでした。勝因は、住民の強烈な郷土愛、不公正に対する怒りがあったからだと思います。それ以上に大きな理由は、長年にわたる地道な「減量化」への取り組みとそれが成功しているという事実でしょう。たしかに選挙は接戦でしたが、これは小さな村ではよくあること。実際は、園瀬川の清流を汚染する事業を歓迎する人は誰もいなかったはず。
 他の市町村も佐那河内に学ぶべきなのです。来年はそれをやってほしい。2015.12.1

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/