三条市長のがれき焼却「任務」

 講演ツアーから十日ぶりに帰宅。すっかりブログ更新がとどこおってしまいました。
この間、というか本日、三条市ががれき本焼却を始めました。

三条市で震災がれきの本焼却開始
2月12日 11時0分
  震災がれきの広域受入れを進めてきた三条市で12日、岩手県大槌町から受け入れる木くず145トンのうちの3.17トンが市のごみ処理施設=三条市福島新田=に搬入され、午前8時40分から焼却を開始した。受入れは、週5日間で3月25日まで31日間の日程。専用のトラックで1日に1~2回、約3.5トンのコンテナで搬入する。木くずを積んだトラックが同焼却場に到着する前後に、受入れに反対する市民グループ40人近くがプラカードを持って焼却場付近で受け入れ反対の意思表示を行ったが、トラックの搬入などに影響はなかった。
http://www.kenoh.com/mimi/pc/12602047.html

 三条市のやり方がいかにひどいか。処分場の地権者と地元自治会は、「がれき受け入れには同意できない」と、2012年6月25日に正式に申し入れています。これは、市との間で交わした「土地使用承諾書」にもとづく通告ですが、市はこれを無視。議会はその翌日、がれき受け入れのための補正予算を通しています。
 そして、市民説明会もなしに試験焼却。地権者の許諾なしに、汚染物を入れたわけだから、単なる契約違反でなく、不法投棄にあたり、特別公務員法違反になります。ほんとなら、警察にかけこんで市長の逮捕を迫ってもよかったのに、誰も動こうとしなかった。新潟県人のおとなしさは、フッ素洗口のせいじゃないかと思うくらいだけど、これじゃ、甘く見られても仕方ありません。
 

 焼却炉に隣接する福島新田もひどい。敷地内に埋め立てた焼却灰から、最大で環境基準値の50倍に達する鉛が出ていますhttp://www.city.sanjo.niigata.jp/kankyo/page00310.html が、それでも、市は――住民がおとなしいのをいいことに――公害防止協定さえ結んでいません。この施設は平成24年に稼動を始めたばかりですが、私が取材した同年11月には、すでに塀に赤黒いしみが広がっていました。

 この鉛を含む灰はコンクリート固化された後、道心坂の処分場に運ばれる予定ですが、周辺住民にとってはがれきどころじゃないのでは? 何という惨状(三条)・・・なお彼は昨年8月7日の記者会見で、こういうことを述べています。http://www.kenoh.com/2012/08/07kaiken.html (がれきの質疑は30分あたりから)
 

「わが国の法制上は、1kgあたり8000ベクレル以下というのは、一般廃棄物として処理するべきものというふうになっているので、これはどの人がなんと言おうと、国権の最高機関(?)である国会において慎重審議されて決められた法制度にもとづいて、今のわれわれ、民主主義社会においてわれわれの目の前に横たわっているルールなわけですね……ですので8000ベクレル以下のものを一般廃棄物として処理するのは・・・異論をさしはさむ余地もないので、それにもとづいて粛々と処理をしてゆくのに他ならない。そこに特別な配慮を求めるというのが、私には理解できない」

 おいおい・・・慎重審議? 法制度? 異論がはさめない? どの法律のどこにそう書いてあるの? 環境省だってそんなことは言っていません(8000ベクレルまでは「安心して処理できる」としているけれど、一般廃棄物として処理すべきなんて表現は見たことも聞いたこともありません)。
見てきたようなうそがつける国定氏。彼は自分で言っているように、がれき処理という「任務」を負っているのでしょう。橋下に匹敵する無知・不誠実さ、これじゃ新潟県知事の呼びかけが届かないはずです。有権者、しっかり人物を見極めてよ。2013.2.12

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/