レバノン「攻撃」、メディアコントロール

 レバノンの大爆発の数時間後には、メディアは「偶発的な事故」「原因は化学物質」と断定。以後はその筋で報道され、核攻撃の可能性もイスラエルの関与についても「陰謀論」と片付けられています。それどころか↓のAFP=時事などは、レバノンの「脱法体質」が問題、ヒズボラがけしからんなどと、「西側」に都合のいい主張を展開しています。

 

「脱法体質」も背景か=化学物質保管の経緯不明―レバノンの大規模爆発

2020/08/06 07:22 (AFP時事)レバノンの首都ベイルートの港湾地区で発生した大規模な爆発は、倉庫に大量保管されていた化学物質の硝酸アンモニウムに引火したのが原因とみられている。何が火元になったのかなど現時点で不明な点も多いが、爆弾にも使われる危険物の管理に問題があったことに疑いはなく、国家内での法治が行き届かないレバノン特有の「脱法体質」も背景にありそうだ。ロイター通信によると、アウン大統領は爆発後、2700トン以上もの硝酸アンモニウムが港で2014 年から6年間にわたって安全対策が施されることなく保管されていたと指摘し、「容認できない」と語った。大量に貯蔵されるに至った経緯や理由は明らかにされておらず、危険物を管理する上での適切な法的手続きが取られていなかった可能性が高い。キリスト、イスラム両教の各宗派が歴史的に抗争を繰り広げてきたレバノンでは、それぞれの勢力が法的な枠組みを度外視して活動することも少なくない。イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラは正規軍を上回る兵力を有し、国家による統制が利かない存在だ。(後略)

 

 でも、事件の直後、「核攻撃」と「イスラエルの関与」の二つを結び付ける論調が多かったのは事実で、山本も今の時点でこの主張を取り下げるつもりはありません。なぜなら、2700トンの硝酸アンモニウムが一瞬で爆発するには、それなりの仕掛け、もしくは火災など「要因」があったはずですが、メディアはその部分を伝えていないのです。 

 ところが、トランプ米大統領は、これをすぐ「恐ろしい攻撃」と発言。CNNによれば、「米軍の偉大な将軍たちは、これは攻撃に見えると考えている。私よりよほどよく知っている彼らが攻撃だと考えているからには、これは事故ではなく爆撃か何かだと思う」と言ったとのこと。(https://edition.cnn.com/2020/08/04/politics/defense-officials-contradict-trump-beirut/index.html)国防総省は慌ててこの発言の火消しに回り、レバノン政府もこの発言に懸念を示しましたが(イスラエルの反発を考慮したのか)、彼はその後も「攻撃」をくりかえしています。Trump again says Lebanon blast might have been attack

 爆発の原因も、当初は「花火用の原料を入れていた倉庫で火災が起きた」というのと、「押収されていた爆発性物質が爆発した」という二種類の報告があったようですが、メディアは後者を取ったことがわかります。フォーブスによれば、今回の爆発はマグニチュード4.5レベルの地震と同じ規模(The Forbes report  )。それが「管理不十分による」「自然発生」で起きたということについてはやはり疑問が残る。 

 それどころか、「イスラエルがベイルートを攻撃した」というイスラエル側の内部情報もありました。

Tikun Olam תיקון עולם 4 August 2020のリポートは未確認ながら信ぴょう性はかなり高い。

以下、この↓記事の山本流解釈。The original source of this article is Tikun Olam 、私の情報元は→https://www.richardsilverstein.com/2020/08/04/breaking-israel-bombed-beirut/

Breaking: Israel Bombed Beirut? 

 「大量の機密情報をもつイスラエルの情報筋は、今朝、イスラエルはベイルート港で100人以上を殺害し数千人を負傷させた大規模な爆発を起こしたと私に伝えた。この爆撃は港湾を真っ平にし、ベイルート市に大きな被害をもたらした。 イスラエルは港にあったヒズボラの武器庫を爆破する計画を立てた。悲劇的なことに、イスラエルの諜報機関はその標的の隣の倉庫に2700トンの硝酸アンモニウムが保管されていることを把握していなかった(または、知っていても気にしなかった)。武器庫の爆発は、隣の倉庫に引火し、大災害を引き起こした。

 イスラエルがもたらした悲劇は、計り知れない規模の戦争犯罪だ。すでに ICC(国際刑事裁判所)は、2014年のプロテクティブ・エッジ作戦以後の、ガザでの戦争犯罪についてイスラエルを調査しているが、今日の犯罪的虐殺もそれに組み込まれるだろう。

 イスラエルは、シリアでは定期的にヒズボラとイランの兵器庫や護送団を攻撃してきたが、レバノン国内でそのような攻撃を行うことはめったになかった。首都ベイルートに対するこの攻撃は、今後さらに拡大するだろう。これはあまりにも無謀な作戦だが、イスラエルの政治状況を考えるとそれほど驚くべきものではない。国内の政治的混乱のただ中にいるネタニヤフ首相は、国民の注意をそらしたかったはずだ。(中略)イスラエルは1982年の侵攻の前後にも、国内のイスラエル代理人と呼応して同じような爆撃を行った。当時のモサドによる暗殺、イスラエルによる複数の爆撃は、レバノンの破壊と市民の死をもたらしたことは、ジャーナリストらによって十分裏付けられている…」

 知らない人にとっては「憶測」。でも、レバノン=イスラエル間の緊張は事実高まっていて、現地住民がまっさきにイスラエルを疑うのは当然なのです。(Heightened Tensions Along the Lebanese/Israeli BorderJul 28, 2020)ちなみに、上記の「1982年の侵攻」については動画↓がありました。ナレーションなし。当時のレバノンが、隣の軍事大国にいかに蹂躙されたか、よくわかります。

 Israel Invades Lebanon – 1982 | Today In History | 6 June 18

 ところが、レバノンにとって不幸なことに、その後、国内で油田が見つかったことから、その利権をめぐりさらにイスラエルの侵攻にさらされるようになりました。そして、すっかり無力化され、それに抵抗する力さえ失っていたレバノン政府に代わって立ち上がったのがヒズボラです。弱い国はやられる。そこで、自国を守るために立ち上がったのがヒズボラです。ヒズボラはイスラエルによるレバノンの実質的占領をはばむ唯一の邪魔者であり、今回の作戦は、ヒズボラの武器庫を破壊し、国際世論もヒズボラを非難する(危険物を安全措置もせず保管していた)という一石二鳥の戦果を狙ったと見ることができます。

 なお、↑のサイトは以下のように締めくくられています。

「もちろんここで書いたことを疑う人も、私の情報源を信じない人もいるだろう。そんな人には以下の二つのことを指摘しておこう。まず、イスラエルは普通、テロ攻撃が成功しても(イランに対するテロのような)コメントなど出さないが、今回はただちに責任を否定するコメントを出している(ヒズボラさえイスラエルの関与を否定した)。二つ目は、イスラエルが「救援」を申し出たこと。同国はこれまで、アラブの隣国に対し、いかなる救援も申し出たことはない。シリア内戦の時、イスラエルが人道的救援を申し出た相手は、反アサド派の民兵(テロリスト)だった。レバノンに対しては救援どころか、爆撃の雨を降らせ、人々の命を奪ってきたのだ…」

 清朝の中国に日本が侵攻し、満州国をでっちあげたことを思い出しました。でもその実態はいまだに日本人には知らされていません。そして、イスラエルのモサドは、米のCIAと並ぶ第三国転覆の専門組織であり、メディアは完全にNWOのコントロール下にあるうことを、私たちは認識しておく必要があります。・・・911の時だって、あの巨大なビルの崩落は「統制された解体(コントロールド・エモリション」だと直感したけれど、当時、そんなことは誰も信じなかった。それどころか、ほとんどの科学者も、メディアが垂れ流す「パンケーキ・クラッシュ」を信じ込んでいたのです。今回の「攻撃」が事実と証明されるまで、いったい何年かかるでしょうか。

2020.8.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/