ネオニコ系農薬、ミツバチのメッセージ

 「ネオニコ系農薬」と聞いても、「ウチは農家じゃないから関係ない」と思う人も多いでしょうから、情報を追加しておきます。
 もともと「農薬問題」がきっかけだった本ブログでしたが、ここ数年ほとんど「農薬」にかかわれていないあいだに、日本ではネオニコ系農薬がーーヨーロッパなどに逆行してーー生活のすみずみまで入りこんでいました。少し前までは林業(マツノザイセンチュウ防除)やイネ(カメムシ防除)くらいだったと思ったのに、今やガーデニング、家庭用殺虫剤だけでなく、ペットのノミ取りや建材などにも使われているとは・・・(データは「新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間」2012改訂版から http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2011/03/Neonicotinoid2012-11.pdf)

ネオニコチノイドの用途と商品名( 成分名)

ガーデニング(花・芝生)…ベストガード( ニテンピラム)、アースガーデン( イミダクロプリド)、イールダーSG( アセタミプリド)、カダン殺虫肥料( アセタミプリド)、モスピラン( アセタミプリド)

農業(イネ・果物・野菜)…ダントツ( クロチアニジン)、ベストガード( ニテンピラム)、アドマイヤー( イミダクロプリド)、モスピラン( アセタミプリド)、アルバリン( ジノテフラン)、プリンスフロアブル( フィプロニル*)、クルーザーFS30( チアメトキサム)、スタークル剤( ジノテフラン)、ハスラー粉剤( クロチアニジン)

林 業松枯れ防除)…マツグリーン液剤( アセタミプリド)、エコワン3 フロアブル( チアクロプリド)、モリエートSC( クロチアニジン)、ビートルコップ顆粒水和液( チアメトキサム)、エコファイターフロアブル( チアクロプリド)、モリエートマイクロカプセル( クロチアニジン)

ペット(ペットのノミ取り)…アドバンテージプラス( イミダクロプリド)、フロントライン( フィプロニル)

家庭用(殺虫剤)…コバエガホイホイ( ジノテフラン)、アリの巣徹底消滅中( ジノテフラン)、ボンフラン( ジノテフラン)、ブラックキャップ( フィプロニル*)、ワイパアワンG( フィプロニル*)

シロアリ駆除・建材)…ハチクサン( イミダクロプリド)、アジェンダSC( フィプロニル*)、タケロック( クロチアニジン)

* フィプロニル: 新しい系統の殺虫剤( ネオニコチノイド系ではなく、フェニルピラゾール系)。フランスなどでミツバチ大量死の原因としても注目されている。

 主なネオニコチノイド系農薬

成分

商品名

開発企業

アセタミプリド

モスピラン、マツグリーン、カダン、イールダーSG

日本曹達

イミダクロプリド

アドマイヤー、ハチクサン、アースガーデン、メリット

バイエル

ニテンピラム

ベストガード、ペダンベス

住友化学

クロチアニジン

ダントツ、フルスウィング、モリエート、ハスラー、タケロック

住友化学

ジノテフラン

スタークル、アルバリン、ボンフラン

三井化学アグロ

チアメトキサム

アクタラ、クルーザFS30

シンジェンタ

チアクロプリド

ウィンバリアード、エコワンフロアブル

バイエル

 ネオニコは神経毒なので、それに触れるとあらゆる生物はなんらかの悪影響を受けます(ヒトも例外ではありません)。それを示すのが下の動画、「ミツバチからのメッセージ」(「ミツバチを救え!」DVD制作実行委員会、2010年10月制作、2012年8月16日公開)。わかりやすく、「どこに問題があるか」よくわかる、とてもいい動画です。ぜひご覧下さい。

 ネオニコの「神経毒」にやられて手足をバタつかせて苦しむミツバチに、HPVワクチンの後遺症で苦しむ少女たちの姿が重なってしょうがありません。あくまでも企業側に立って利権を守ろうとする行政や農協、正確な情報も得られずミツバチを保護することもできない養蜂家の関係も、ワクチンとその被害者と同じ。そして、ネオニコの毒は水を汚染し、作物に浸透し、今や子どもたちの脳を侵している・・・それもまた「水俣病」など公害と同じ構図です。怖いのは38分ごろから。りんごやなし、ぶどうなどの残留基準がいったいEUの何倍くらいなのか・・・ぜひ見て下さい(日本の下段の数値は見直し案)。日本の基準がこれほど緩いのは、一に国の農業政策の悪さ、二に農家(の多く)の無知・・・かえって自分たちの首を絞めている、三に市民の問題への無関心があると思います。結局、日本の行政や政治の悪さは、それを黙認する国民のせいなんですけどね。
 私は311後の「がれき広域処理」際して、がれきには大量の農薬が散布されていること、放射能に汚染されていることから、焼却処理の危険性を強く訴え、阻止しようとしました。市民の反対を押し切ってがれき焼却を強行した東京都、大阪市、北九州市などでは、鼻血や頭痛を経験した人もいたし、東京や大阪から「避難」した人さえいます。それこそ農薬と放射能のダブルパ ンチだったわけ。農薬は直接的な神経毒なので、くれぐれも軽視しないで下さい。2016.1.15

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/