「飛灰を扱う労働者のDNAは,底灰を扱う労働者より異常が多い」
これは、「底灰リサイクルと飛灰処理工場における労働者の職業
暴露とDNA断裂」と題された論文で発表された「結論」です。
市のごみ焼却炉から出る灰は、底灰と飛灰に分けられますが、
研究者(Chen氏ら)は、飛灰の処理施設の労働者の方が、底灰処理
にあたる労働者より、DNA損傷がかなり高い(7・55:2.64)ことを発見
しました。飛灰の毒性を改めて明らかにした研究です。
研究者らはまた、ホワイトカラー族より、ブルーカラー(肉体労働者)
のDNA損傷率が高いことも発見しています。同論文は、2009年9月
10日発行の「有害物質ジャーナル」に掲載されました。下に出典を
つけたので、興味がある方は原文をどうぞ(有料です)。
ごみの焼却後に出てくる4分の1~3分の1の灰のうち、底灰は比
較的有害物質が少ないのに対し、飛灰はダイオキシンなど毒物を多
く含み、非常に有害であることが知られています。世界最大の焼却
大国、日本はこれをどうしているでしょう。
①ガス化熔融炉で溶かし固める、②灰熔融炉で溶かし固める
・・・その後、①も②もコンクリートやセメント骨材などに再利用。
③キレート剤などで固化する・・・主に処分場に埋立てる。
有毒な飛灰が底灰と混合され、生活空間にたっぷりばらまかれて
いるわけです。1970年以降に生まれた人たちは、このような焼却炉
由来のダイオキシン・重金属・その他の毒物汚染から逃れられない
はず。どうやってこの悪循環を止めたらいいか、私は最近、政府に
ごみ処理政策を見直すよう提言を出しましたが、問題は、後に続く
NGOがほとんどないことです。国民が動かなければ、民主党だって
動けないのですが。 2009.12.3
Chen et al. (2009) compared DNA changes among workers at a MSW fly ash treatment facility and a MSW bottom ash recovery facility. DNA damage was significantly higher among those working with fly ash than bottom ash workers (tail moments of 7.55 versus 2.64). They also found more DNA damage among blue collar than white collar workers.
Journal of Hazardous Materials. Article in Press.
doi:10.1016/j.jhazmat.2009.09.010