がれきバッジでオリンピック開会式を追われた日本選手団

 日本選手団が開会式の途中から強制退場させられたというニュースは知っていました。何かの手違い、ということで落着していたはずですが、メディアが全く報じていなかったことを知りました。で、検索しなおしてみても、ひっかかったのはわずかにこの記事のみ。
聖火台点火に立ち会えず 開会式で日本選手団

2012年08月01日 01:04

 【ロンドン共同】ロンドン五輪の27日の開会式で入場行進を終えた日本選手団が、誘導の不手際から五輪スタジアムの選手エリアに入れず、終盤のクライマックスとなる聖火台への点火に立ち会えなかったことが31日、分かった。大会組織委員会は選手の体調管理を考慮し、行進後にそのまま選手村に帰るルートも用意していた。約40人が参加した日本選手は多数が帰る予定だったが、最後まで参加を希望していた選手まで場外に出され、再び戻ることができなかったという。選手団の橋本聖子副団長は「日本の選手が手違いで全員外に出されてしまった組織委から謝罪があった」と話している。 http://www.nishinippon.co.jp/nsp/feature/london/news/20120801/20120801_0003.shtml
 おかしな記事です。衆人環視、世界のテレビ局が実況放送している中で起きた退場事件なのに、なぜ31日になって「わかった」のか。手違いならその場で抗議すればいいのに、それをやった形跡はなし。それに、途中まで行進させたのだから、その後に起きた異変によって退場させられたと見るべきで、「誤導」はありえません。これを全部説明するのが、「英BBCが日本選手がつけていたがれきバッジについて実況放送し、それが退去につながった」、との情報。ただし、私は確認していません。http://blog.goo.ne.jp/jpnx05/e/2ebd36d7da3d85d950d2c0893ec76c2
 がれきバッジ? まさかと思ったらほんとでした。以下は環境省のがれき広域処理サイトから。
 7月21日(土)、代々木第一体育館にて開催された「第30回オリンピック競技大会(2012ロンドン)日本代表選手団壮行会」にて、被災地のがれきを活用した巨大球体オブジェの展示、ガレキのピンバッジを来場者へ配布しました。また、石巻市の小中学生31名による選手団へのお守り贈呈を行い、壮行会参加者に災害廃棄物の広域処理への理解を深めていただきました。JOCとのコラボレーションして制作した南三陸町の流木がれきを使ったコシノジュンコ氏デザインのピンバッジ。野田総理もこのピンバッジをつけて登壇。
http://kouikishori.env.go.jp/results/index2.html#anch20120721_02

 「愛国心」「日の丸」を思わせるデザインで、選手にがれきバッジを持たせ、「安全安心」、「原発は悪くない」、「反対派は非国民だ」って国際的にアピールするつもりだったんでしょうが、汚染広域化は国際的に受け入れられないことがわかったか! 
 それだけでなく、ロンドン・オリンピックは、過去最大の武装大会で、特に核攻撃の可能性が語られてきたのです。死亡者数も予測されていたくらいだから、そこに、放射能汚染と直接結びつくがれきバッジを持ち込んでは、強制退去させられても文句は言えないでしょう。ロンドン・オリンピックをとりまく不穏な空気と怪しいメッセージの数々。たとえば一つ目のマスコット、がら空きの貴賓席、売り上げの落ち込んだ街、そして観光客の激減――野田と石原都知事も寸前でロンドン行きを止めたのは、体調やスケジュールのせいばかりではないはず(このあたり、詳しくは私の別のブログhttp://mirushakai.jugem.jp/ をごらん下さい)。
 がれきバッジにかける予算があるなら、被災者に線量計を配ったら? なにより汚染地域に閉じ込められている被災者を救出したら? 
(その他の参考…なお、オリンピック開会式の日本選手団の画像は全部ブロックされています。)
http://claireevans.hubpages.com/hub/nuclearattackinlondon
http://www.rbbtoday.com/article/2012/07/31/92479.html

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/