細川を急きょ知事選にかつぎ出したのは、まちがっても宇都宮知事を誕生させたくなかった政権側です。地名度のある隠し玉を出して「票割り」し、宇都宮氏を「泡沫化」するというのは、いつもの手。で、メディアはさっそく「この選挙は舛添vs細川の戦い!」なんて書いているけど、同じことをかの広瀬隆氏が叫んでいるのに、かなり脱力感を覚えます。
「今回の都知事選は、細川護熙 対 安倍晋三 なのです。敵方の舛添要一は、ミニ安倍晋三なのです。日本の核兵器保有のために、 高速増殖炉もんじゅの広告塔として活動し、原爆材料プルトニウム確保に夢中になってきた舛添要一は、超危険人物です。私自身も、 テレビとラジオで、ことあるごとに、彼と討論してきたので、その危険性は誰よりも承知しています。舛添要一は、福島第一原発事故 を招いた責任者の筆頭です。このような人間に権力を持たせれば、日本は大変なことになります。こうした事実を社会に伝えれば、彼 は泡沫候補です。選挙は、勝つか、負けるか、この二つしかありません。得票数が多くても、まったく意味のない闘いです。したがって、圧勝できる 候補者を擁立し、みながまとまって、急いで支持するべきです」
…って、細川も安倍も舛添も同じ穴のムジナなのに。似たような体験をしている私にはよ~くわかる。宇都宮氏が何も共産党の代理というわけじゃあるまいし、知事になれば止める手立てはいくらでもあるわ。だからこそ、政権はどんな手を使っても、彼をつぶしたいのだ。
しかも、驚くべきことに、細川をかついだ「立つ原発都知事を実現する会」のメンバーは、「御大」に会ってさえいなかった。この件については、IWJの岩上氏のリポートが面白い。以下は彼のブログから一部抜粋、編集したもの。
吉岡達也氏(ピースボート)
「間違いなく細川さんと直接、電話で話した」。湯川れい子さんとともに、細川氏の選対事務所を訪ね、「刷り物」(チラシ、ビラ?)にも「原発ゼロ」といった文言が刷り込まれているのを見た
」
河合弘之(弁護士)
「同志が集まって、『一本化を呼びかけよう』と両方に同一の書面を出しました。(中略)僕らの提案はあくまで非公開。しかし宇都宮サイドは、公開を前提として正々堂々と討論しようというものだった。かたや細川サイドからの返答は、いかなる政党、団体からも支援を受ける意志はなし、というもの。細川本人の脱原発の思いを有権者に直接訴えたいので、調整はいたしかねる、という、一本化についてはきっぱりお断りの返事でした。(中略)それで一本化を諦めて、細川氏を応援しようと決定して、今日、発表したんです」
「我々は細川氏本人とは会っていません。細川さんは今、誰とも会わない。細川陣営の選対の政策決定者に会って確認しました。誰かは言えません。でも、我々は宇都宮さん本人にも会っていませんからね」
「(発表のタイミングについて)
うーん、そりゃ、でも、わかるでしょ。でも、こういう運動をする時には、ある程度思い切った行動に出ないとダメでしょ。なぜ正式な公約発表を細川サイドが22日の午後5時に設定したのかは、我々には計り知れない。介入もできない」
」。
全文はこちら→脱原発派の一部リーダーが公約正式発表前の細川護熙氏を支持 その裏側とは…
2014年1月22日blogos.com/article/78422
会ったこともなく、政策を見たこともなく、しかも「計り知れない」行動をする相手を、一方的に担いだわけだから、そりゃまあ、相当「思い切った行動」です。地道な市民運動団体はまずやらないし、「使われている」としか思えませんが。何に使われているかって? この「支持騒ぎ」そのものが、細川の地名度をさらにあげるから。特に、「いかなる政党、団体からも支援を受ける意思はない」というフレーズがくりかえされ、一般市民に「細川=クリーン」との誤解をすり込むわけです。彼はあくまでも「意思」を表しているだけで、実際は大量の組織票が動くのですけどね。「思い切った行動」のつけが回されるのは都民だけど。2014.1.24