米子市「淀江地区」の産廃設置問題に関しては、何年も反対運動をサポートしてきましたが、遂に鳥取県知事が施設設置許可を出しました。…日本海新聞↓によれば、この決定は「業界の喜び」だそうですが、普通の市民は、行政に対する「業界圧力」が相当強かったこと、癒着があったのでは、と感じるはず。
2024年11月19日、日本海新聞
いろんな地域の廃棄物問題を見てきた山本にとっても、鳥取県は最悪。地元の根強い、まともな反対運動の質問には答えず、第三者委員会という責任を取らなくていい組織を通じて、情報やデータを捻じ曲げ、隠蔽し、環境への影響はない、との「調査結果」を盾に「許可」を出したわけ。…知らない人のために解説しておきますが、事業活動から出た廃棄物は、本来、事業者自らが処理しなければなりません。土地の確保、住民に対する事業説明会の開催、そして地域の了解を得て、住民らと契約(環境を汚染しない、問題が起きたら原状復帰するなどのお約束を文書化したもの)を結んだ上で、行政の費用ではなく、自分の費用で「処理」しなければならないのです。
ところが鳥取県は、産業界に代わって事業主体となり、産業界に代わって説明会をくりかえし(説明になどなっとらん)、産業界に代わって土地、それも米子市の用途が確定した市有地を取得するという、れっきとした地方自治侵害行為を犯している(憲法92条違反)。ここまでの費用も、基本的に県三セクが支出している。
その上で、本来、産廃処理を監督すべき立場にある県が、産業界に代わって開発許可申請を出し、その結果の「許可」も出したわけです。つまり、鳥取県は、「産廃処理施設建設」を目的にした産業界の代理人としてふるまっており、今回の「許可」に至る行為は、民法107条が禁止している「自己契約」「双方代理」「利益相反行為」に当たります。
都道府県のトップは公選の知事、米子市のトップも公選の市長、彼らはそれぞれ地方自治体の長として、「地方自治の本旨」に基づいて事務を行わなければなりません。その明文規定にもかかわらず、彼らは「地下水源を守れ」という市民の声を無視し、市民が享受してきた自然水源を汚染する事業のために市有地を市民から強奪しているわけで、こんな行政ならない方がマシ。これは外ならぬ行政組織による財産権の侵害、汚染であり、もちろん自治法にも違反するし、官民癒着が疑われるのも当然です。
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なお、ほとんど知られていませんが、「産廃」汚染がもっとも深刻なのは、水ではなく、空気です。特に、最近、急に指摘され始めたPFAS汚染は、産廃処分場の排ガスに含まれていること、処分場が主要なPFAS汚染源であることが明らかになり、世界に衝撃を広げています。「環境にはほとんど影響を与えない」どころか、処分場排ガスは殺人ガスであることがわかったのだから。でも、日本の田舎の行政職員や「知識人」の耳に、そんな情報が入るのは一番後。同地の反対運動はすでに十数年も続いていますが、まず市民がしっかり勉強し、新たな知識を元に、この「許可」取り消しを求めて戦いをあらたにするしかないでしょう。2024.11.24