5月17日、箱根と南足柄市を取材しました。この期に及んで、がれき(漁具・魚網)に手をあげたのはなぜか、意思表明に至る経緯を聞きたかったのです。ところが・・・以下はその記録です。
【箱根町】
秘書室に行くと、町長は5月16日から27日まで海外視察で不在とのこと。渡航目的を聞いたが、教えてくれない。秘書課はその自治体を映す鏡といえるが、観光で成り立っている町の秘書課が、これほど陰険、秘密主義、権威主義とは想定外だった。でも、幸い、副町長が10分だけなら会うという。10分では取材はできないので、こちらから「情報提供」に絞り、がれきの毒性や違法性の問題を説明し始めた。ところが話の途中から、数馬副市長はだんだん渋い顔になり、10分過ぎると立ち上がって、「あなたの意見は参考として伺いました(山本注:これで終わり、という意味)」。そして、「資料は要りません」「担当課に届ける必要もありません」「お帰り下さい」。決定しているから、話を聞く必要はないということです。
で、次に環境課に行き、お疲れの様子の小林課長と話をしました。
Q:お尋ねしたいのは、がれきを受け入れに関する、町としての意思形成過程です。
A:町長が決めました。
Q:廃棄物処理は自治事務であり、計画事務でもあるから、町長独断で決めるわけにはゆかないはずですよ。内部ではどのような協議がされたんですか?
A:う・・・
Q:自治会相手に二回ほど説明会を開いていますが、それ以前に庁内で協議は?
A:ああ・・・(頭をかきむしる)言えませんっ!
Q:知らないから言えないの? わかっているけど言えないの?
A:・・・何も言うな、といわれている。
Q:誰に? 副町長に?
A:え、知ってるんですか?
Q:今、会って来たところですよ。・・・じゃあ、説明会の配布資料だけでも出して下さい。
A:申し訳ないけど、出せません。あれは内部資料の扱いなので。
Q:んなバカな。自治会役員は外部の人間じゃないの。そこには出して、私には出さないの?
A:・・・ご理解下さい。
人口わずか1万3千人の観光の町・箱根。町長はワンマン、最終処分場は山の中、で「がれき」が町民の議論になるのは難しいかもしれないけれど、それでも、住民の良識を信じたい。
【南足柄市】
次に行った南足柄市の秘書課は、箱根とは正反対の愛想よさ。アポなしだったので、市長との面会は無理だが・・・と、市民部長と環境課長との会談をセットしてくれた。二人とも、4月の人事異動で来たばかり。
「魚網については3月14日に雨坪処分場の二者協議が行われたが、庁内で協議したとは聞いていない」、「市長は個人的に思い入れがあったのだろうが、県の働きかけによるとは思わない」、「受入を決定したわけではない」・・・
Q[でも周辺自治会に対し、受け入れを前提の説明会を開いていますね?」
A[そうですね、受入れ・・・方針は決定していますね」
Q「要請は文書で? 誰に対してですか?」
A「文書ではなく、電話です。副市長にあったということです」
Q「配布資料はどんなものでした?」
A「全部、県のHPにあるものをプリントしたものだけです」
Q「毒性について、県の説明は受けましたか?」
A「はい、鉛は取り外すということで・・・」
Q「そうじゃなくて、PCBとかアスベストとか農薬とか・・・県の説明役は誰ですか?」
A「主に野中部長です。主に副市長が対応しています」
Q「会談内容は記録されているんでしょう?」
A(二人、顔を見合わせて)「いいえ!」「秘書も同席していないので・・・」
Q「県との話合いなのに、秘書も入れない」
A「だから、秘書課の方でもおそらく会談の内容なんか把握していません」
このへんで時間切れ。両自治体の共通点は、水面下のトップ交渉で受入を決めていたということ! でも、広域自治体の県(国の家来)が、基礎自治体の自治事務に関して秘密協議するなんて完全に自治権侵害だからね。黒岩県政はこういう汚い手まで使っているとは…
現地は水の豊かな地域。処分場は、すばらしい水田地帯の、一つの谷の奥にある模様。知っていれば絶対建設に反対したのに・・・。のんびりした地域は狙われる。2013.5.23