侵略される女子スポーツ②IBAの声明で事実が明らかに

前記事の続き。国際ボクシング協会(IBA)の声明は、女子ボクシング66㎏級の試合前日の7月31日、イタリアからケリフ選手の失格の件について問い合わせがあったのに応えて出されたものです。

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2023年世界ボクシング選手権における選手失格に関する国際ボクシング協会の声明 

2024年7月31日 前述通り、国際ボクシング協会(IBA)は、この時期に、リン・ユーティン選手とイマネ・ケリフ選手、特にパリオリンピック2024への参加に関する最近のメディア報道に対し、以下の点を指摘する。

2023年3月24日、IBAはリン・ユーティン選手とイマネ・ケリフ選手を、IBA女子世界ボクシング選手権ニューデリー2023から失格とした。IBA規則に定めた女子大会への参加資格基準を満たさなかったことが原因である。綿密な検討を経て下されたこの決定は、競技の公平性と最大限の誠実さを維持するために極めて重要であり、かつ必要だった。彼らはテストステロン検査ではなく、別途公認の検査を受けたことに注意して欲しい。これらの検査の詳細は秘密にされている(山本注:プライバシー保護の観点から)。この検査によって、両選手が必要な資格基準を満たしておらず、他の女性競技者よりも競争上の優位性があることが最終的に判明した。3月24日のこの決定は、3月25日にIBA理事会で承認された。この決定の公式記録は、IBAのウェブサイトのIBA理事会の会議事録からアクセスできる。

失格は両選手に対して実施された以下の2つの検査に基づいている。

・イスタンブール2022年IBA女子世界ボクシング選手権で実施された検査。

・ニューデリー2023年IBA女子世界ボクシング選手権で実施された検査。

リン・ユーティンはIBAの決定をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴しなかったため、決定は法的拘束力を持つものとなった。イマネ・ケリフは当初CASに控訴したが、その後、控訴を取り下げたため、やはりIBAの決定は法的拘束力を持つものとなった。

当委員会は世界選手権で下されたこの決定を厳格に検討し、承認した。IBAは引き続いて、すべてのイベントで競争の公平性を確保することに尽力しているが、オリンピックを監督する団体を含む他のスポーツ団体による資格基準の適用に一貫性がないことに懸念を表明する。IBA が関与していないこれらの問題に関する IOC の異なる規制は、競技の公平性と選手の安全性の両方について深刻な疑問を提起している。 IOC がなぜ、競技上の優位性を持つ選手の競技参加を認めるのか、関係者はその理由を明確にするようIOCに直接回答を求めるよう促したい。   敬具 国際ボクシング協会 iba.sport July 31st, 2024

  8月1日の試合で、この声明の懸念が証明された形ですが、それでもIOCは反省せず。逆に、IBA批判を強めたため、IBAは8月5日、パリで記者会見を開き以下のような説明をしています。これが面白い。長くなりますが、マスメディアは伝えない情報だと思われるので、本ブログに日本語訳を掲載しておきます。

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IBA clarifies the facts: the letter to the IOC regarding two ineligible boxers was sent and acknowledged IBAは事実を明らかにした。ボクサー二人を失格としたテスト結果を示す手紙はIOCに送付され、受領されていた

  • 国際ボクシング協会(IBA)は、アルジェリアのイマネ・ケリフ選手と台湾のリン・ユーティン選手の2名のボクサーが失格となった原因を明らかにした。イマネ・ケリフ選手は2018年からIBAの大会に参加しており、リン・ユーティン選手は2017年から出場している。現在のIBA経営陣は2020年12月からリーダーシップを発揮しており、2022年に開催された最初のIBA女子世界ボクシング選手権からこの問題に取り組んできた。IBAは、この点に関する過去の繰り返しやリーダーシップ欠如についてはコメントしない。
  • コーチ陣からの多数の苦情を受け、ボクサーらの同意を得て性別検査を行った。血液サンプルの採取は2022年5月17日に行われた。イスタンブールのSistem Tip Laboratory(ライセンス番号:194-MRK)は、競技終了後の2022年5月24日に報告書を発表した。研究所は、IBA女子イベントの資格基準に一致しない結果を検出した。ケリフは63kg級で銀メダルを獲得し、リンは57kg級で金メダルを獲得した。
  • 各選手に対し1回の検査で結果を伴う決定を下すのは不十分であり、1回の検査ミスが発生する可能性がある。弁護士は、状況を監視し、IOCに連絡するよう助言した。IBAはこれらの検査についてIOC代表者に通知したが、IOC側からの反応はなかった。
  • この状況(山本注:男性疑惑がある人物が女子ボクシングに参加する)はボクシングにとってまったく新しいものであり、IBAは何度も協議を重ねた後、ボクサーたちを失格にする前に再度、検査を行うことを決めた。しかし、2回目の検査はIBAの競技期間内に、中立国でしか実施できなかった。
  • その次のIBA女子ボクシング世界選手権2023はインドのニューデリーで開催され、ケリフとリンは初戦前に再度、同意の上で検査を受けた。血液サンプルは2023年3月17日に採取された。ニューデリーのラル・パスラボ博士が2023年3月23日に発表した結果は、最初の検査結果と全く同じだった。
  • 2023年3月24日、当時のIBA事務局長兼CEOのジョージ・イェロリンポスは、ケリフとリンの両選手に、資格基準を満たしていないため選手権から除外されることを通知した。選手らは検査結果のコピーを受け取り、21日以内にCASに上訴できる可能性について通知された。決定書を受け取った二人は、書類に署名し、それを承認した。検査の詳細は手紙に添付されていた。
  • 2023年3月26日、IBA理事会はイマネ・ケリフとリン・ユーティンのIBA女子世界ボクシング選手権2023への出場資格を剥奪するという決定を、多数決で承認した。
  • これらの検査は(本人の)私生活に影響を及ぼし、個人情報として保護される医療情報に該当するため、関係者の同意なしに文書を公開することは我々には許されない。しかし、イマネ・ケリフとリン・ユーティンはともにこれらの検査のコピーを受け取ったが、異議を唱えたことはない。彼らはこれらの検査が存在し、偽物ではないことを知っている。両選手には、理事会決定に対しCASに異議を申し立てる権利が与えられた。これに対し、リンは異議を申し立てず、その決定は法的拘束力を持っている。
  • 2023年5月12日、IBAは技術および競技規則を改正し、IBA の競技は男性選手と女性選手の間でのみ実施されると決定した。ボクシング競技への DSD(性的発達の違い) 選手の参加は、ボクサーの健康と安全にとって危険であることが判明した。
  • 理事会による T&C 規則の修正は以下の通り;
  • 男性/男児の定義 = 染色体 XY を持つ個人。
  • 女性/女児の定義 = 染色体 XX を持つ個人

ルール 4.2. 性別の資格

4.2.1.ボクサーは、本ルールの定義に従って、女性対女性、男性対男性を意味する同性のボクサーと対戦する。

4.2.2.性別を判定するために、ボクサーは、選ばれた研究室の職員と協力して IBA が実施するランダム及び/又はターゲットを絞った性別検査を受けられる

4.2.3.不利な結果が出た場合、ボクサーは直ちにIBAから通知される

4.2.4. 不利な結果が出た場合、ボクサーはその競技から即時に失格となり、その性別のIBA所有および認可競技へのさらなる出場が禁止される。この目的のため、IBAは機密性を尊重しながら、関連する内部機関と情報を共有する。

  • 2023年4月14日、イマネ・ケリフは失格決定に異議を唱えIBAに対してCASに上訴した。IBAは誠意を示すために費用の一部を負担している。多くの国際連盟が、その費用支払いに同意していない。
  • CAS手続き終了後、IBAは、イマネ・ケリフと状況解決のために連絡を取り合った。選手はIBAに多数の医療文書を提出しIBA医療委員会がそれを検討した。2024年3月23日、IBA医療委員会はケリフの資格に関する報告書を発表した。
  • 2024年4月12日、IBAはイマネ・ケリフにIBA医療委員会の結論を伝え、彼女がIBA女子競技に参加する資格がないことを再度確認した。そのため、エリート女子ライトウェルターの彼女のプロフィールはIBAデータベースから削除された。彼女はIBAのこの決定に対して異議を申し立てなかった。
  • IBAは個人の私生活についてコメントしない。IBAにとって、イマネ・ケリフとリン・ユーティンが自分をどのように特定しているか、パスポートに何が書かれているかは問題ではない。 IBA の主な懸念は、彼らはホルモンの不均衡により、それぞれの体重別階級で女性ボクサーよりも明らかに有利になっていることだ。これは、オリンピックですでに見られた他の女性ボクサーにとって危険であり、従って彼女は IBA の競技に参加する資格がない。
  • 2023 年 6 月 5 日、IBA は IOC にこの件に関する公式文書を送付した。official correspondence to the IOC これに対し、2023 年 6 月 16 日、IOC スポーツディレクターのキット・マッコーネル氏から確認メールが送信された。sent the acknowledgment email.
  • 2024 年 7 月 31 日、パリオリンピックでケリフとアンジェラ・カリニとの対戦前夜、イタリアボクシング連盟事務局から、IBAにケリフが失格になった理由について質問する電子メールが届いた。
  • 2024年7月31日、複数のメディアから要請があったことを受けて、IBAはケリフ/リン事件について最初の声明を発表した。IBA issued the first statement about the Khelif/Lin cases following multiple media requests on 31 July 2024 (上述の文書)
  • 2024年8月1日、カリニはパリ2024オリンピックの66kg級でケリフと対戦し、46秒後に試合を放棄した。
  • IBAは、警告したにもかかわらず、失格となったボクサーをオリンピックに参加させたIOCの資格規則を非難した。IBA condemned the IOC’s eligibility rules that allowed disqualified boxers to participate in the Games following that the IOC was warned about their ineligibility.
  • IOCは記者会見で、この事件について通知を受けたことはないと嘘の主張 press briefingをした。
  • IBAは状況を詳細に説明するため8月5日にパリで記者会見を開かざるを得なくなった。
  • IBAは、事件を終結させるために、記者会見後に事実の一覧と添付文書を添えた声明を発表した。

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IOCがなぜIBAを敵視しているかについては、次の投稿で。それにしても、「試合は女性対女性、男性対男性で行われる。女性は染色体XXを持つ個人、男性は染色体XYを持つ個人とする」・・・こんなことを定めなければならない時代になっているのが怖い。ⅬGBT問題はソフトな話題ではありません。2024.8.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/