「焼却」で放射能はどこへゆく

 なんか、「除染」という言葉がすっかりあたりまえになっていますが・・・
 それで放射性物質がなくなるわけではなく、どこかに「転移」するだけなんですけれど。
 しかも、除染法によっては、放射性物質が拡散したり、反対に濃縮することになります。水で洗うと水生生物に汚染が転移・濃縮し、魚類の汚染は避けられなくなるでしょう。同様に、焼却すると、排ガスによって大気が汚染され、また焼却灰(飛灰、底灰を問わず)が高度に汚染され、土壌の汚染度がさらに高まるでしょう。なのに、「焼却しろ」という声がけっこう多い。下は、偶然、ネットで見つけた発言です。(赤字は原文通り)。
 放射性セシウムによる濃厚汚染土壌は、汚染現場でロータリーキルンで800℃以上で焼却しよう捕集効率の良いフィルターでセシウムを完全にトラップして、飛灰として全放射能を濃縮するのである。これだとフィルターにかかる汚染物である飛灰として廃棄すべき放射能の重量が、元の土壌の総重量の0.1%以下に濃縮されるはずである。(中略)土壌を焼くことこそ、あらゆる放射性セシウム汚染土壌の除染の共通解であると思う。もちろん現場の技術としては、まだ確立していないが、可能性は大だと思う。ぜひゼネコンにやってもらいたい。(後略)
 すばらしく能天気なご意見。すでに、各地で焼却灰の汚染が問題になっているというのに。
 規制値超え6市8カ所 県、ごみ焼却灰調査まとめ
 2011年8月27日
 県は二十六日、一般ごみの焼却灰について、市町村などが行った放射性物質の調査結果をまとめて発表した。これまでに六市にある八カ所の清掃工場で暫定規制値(一キログラム当たり八〇〇〇ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出された。セシウム濃度が最も高かったのは、柏市第二清掃工場(南部クリーンセンター)で、六月二十七日に測定された一キログラム当たり七〇八〇〇ベクレル。柏と松戸市の各二カ所、流山、我孫子、千葉市、印西市の各一カ所で計十六回にわたって規制値を超えた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20110827/CK2011082702000048.html
 注意して欲しいのは、この焼却灰の高濃度は、「普通のごみ」を燃して出てきたものです。これが「高濃度汚染土壌」を燃したりしたら、どうなる? フィルターは万能ではないし、その捕捉率なんて誰にもわかりません。そこから出て行く微粒子、SPMは、皮膚からだって人体に吸収されて内部被曝をひきおこすのです。
 じゃあ、どうすればいいのか、それは私にもわかりません。でも、少なくとも、焼却処理は非常に危険だと思います。上のニュースがそれを示しているのではないでしょうか。2011.9.14

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/